ビジネス

なぜポテトはSのままなのか 日本の港がコンテナ船にスルーされる現実も

港に積まれたコンテナの山(イメージ)

東京港に積まれたコンテナの山(イメージ)

 ハンバーグレストランの「びっくりドンキー」が、全国の店舗でフライドポテトなど輸入品を使ったメニューの販売を休止すると発表した。12月24日から一部店舗ですでに販売休止していたが、全店舗に拡大することとなった。休止の理由として、新型コロナウイルスの影響で物流網が世界的に混乱、コンテナを輸送する船を確保できなかったことをあげている。俳人で著作家の日野百草氏が、世界の主要港から転落して久しいコンテナ不足の現場をたずねた。

 * * *
「これでも昔に比べれば少ないですよ、簡単に(向こうの)海が見えるでしょう」

 東京港のコンテナ埠頭、時おりジョギングやサイクリングの人が通りかかる以外は関係者ばかり。日本を支える玄関口のひとつである。コンテナ不足で世界的な混乱となっているがコンテナはそれなりに積まれているように見える。カラフルで眺めていると楽しい。

「いや少ないです。キャンセルが多いですね、船が入らなかったとか」

 停車中のトレーラーヘッドに乗ったまま休憩中だというドライバーが語る。キャンセルとは船便が来なくなったことを意味する。遅延であれコンテナ船そのもののキャンセルであれ、買い負け以上に深刻なコンテナの「取り負け」はあらゆる日本の食材や資源、部品調達に影響を及ぼしている。彼もまたベテランだそうだが、昔はもっと活気があったという。

「昔と言っても30年くらいですね、もっとすごかった。世界の中心って感じですね」

 とても良い例え、「世界の中心」という言葉をいただいた。そうだ、日本はたしかに「世界の中心」であった。日本の港は「世界中のものが集まる」場所だった。いまも変わらずそうであるように錯覚してしまうが、本質のところでは大きく変わろうとしている。ついに日常生活でそれを感じるまでに至ってしまった。

日本の港なんて世界20位にも入っていない

「港、思ったより小さかったでしょ」

 コンテナ港に行ったことを食料商社の商社マンにメールすると日本の港について教えてくれた。今年に入っても大型コンテナ船のキャンセル、遅延が続く厳しい情勢だという。

「東京港は大井の他にもいくつかありますけど、どれも小さな港でよくやってますよ」

 規模だけではないのかもしれないが、日本の港がいつの間にか世界から置いてきぼりを食らっていることは数字が証明していた。貿易戦争の拠点のはずなのに。

「日本の港は20位以内にも入ってません。これ、もっと知られていいと思うんですけど」

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン