スポーツ

五輪3連覇を狙う羽生結弦を悩ませる「ワクチン問題」「膨大な待ち時間」

全員選手権(12月26日)で五輪出場を決めた羽生(写真/共同通信社)

全員選手権(2021年12月26日)で五輪出場を決めた羽生(写真/共同通信社)

 2月4日の開幕を前に、北京冬季五輪の準備が着々と進んでいる。フィギュアスケートの会場となる中国・北京市の首都体育館では、リンクの製氷作業が最終段階に入った。リンク中央、氷の下に五輪のオリンピックシンボルがクリアに透けて見えるが、3連覇を狙う羽生結弦(27才)の視界は決して良好とはいえない。

 昨年12月、羽生は右足のケガから復帰し、今季初戦となる全日本選手権に出場。4回転半ジャンプに公式戦で初めて挑戦し、両足着氷でダウングレードにはなったものの転倒することはなかった。復帰戦とは思えぬ演技で優勝し、五輪への出場権を獲得した。だが、その代償は小さくなかった。

「4回転半は羽生選手が痛めている右足首への負担が非常に大きいジャンプなので、彼の右足は悲鳴をあげています。日本スケート連盟の公式ツイッターで、羽生選手は“正月返上で4回転半の習得に励む”としていましたが、正月はリンクに立たず静養に努めていたようです。五輪までに回復するのか、心配する声も上がっています」(フィギュアスケート関係者)

 不安は古傷ばかりではない。北京五輪はコロナ禍のもとでの開催になる。これまで中国は「ゼロ・コロナ」を掲げ、徹底した隔離政策でコロナの封じ込めに力を入れてきた。だが、感染力の強いオミクロン株が世界的に猛威を振るい始めると、中国の状況も一変する。昨年12月末以降、複数の都市で市中感染が確認され、ロックダウンが始まっている。1月8日には、北京市に隣接する天津市でも市中感染が明らかになった。

「15日にはとうとう北京市内でもオミクロン株の感染者が見つかりました。17日には、中国本土在住者に限って販売予定だった観戦チケットを、一般販売せず、一部の招待客に限定することを発表。学校などの団体客のみに販売することが考えられています」(中国在住ジャーナリスト)

 羽生ら選手たちは、競技に集中しながら、感染対策にも気を配らなければならない。懸念材料はそれだけではない。ワクチン接種に伴う、負担の大きさだ。

「北京五輪の規則集である『プレーブック』には、選手は北京入りする14日前までにワクチンの接種を完了しておくことが必要、との記載があります。未接種者は北京到着後に、21日間もの集中的隔離が義務づけられています。もちろんその間、練習はできません。

 ワクチンの義務化はアスリートによってはセンシティブな問題。副反応だけでなく、持病のある選手にとっては接種そのものへの不安も大きい。医学的な理由により接種の免除を申請できますが、必ず通るかはわかりません。選手はナイーブにならざるを得ないのです」(スポーツジャーナリスト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン