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プロ野球キャンプインで思い出す、元木大介「若手時代のリタイア伝説」

若手時代はキャンプ第1クールでの離脱が続いていた巨人・元木大介ヘッドコーチ(時事通信フォト)

若手時代はキャンプ第1クールでの離脱が続いていた巨人・元木大介ヘッドコーチ(時事通信フォト)

 2月1日、プロ野球のキャンプが一斉に幕を開けた。日本ハムの新監督である新庄剛志ビッグボスが話題をさらう中、2年ぶりの優勝を目指す巨人では初日からエースの菅野智之がブルペンに入り、2年目で今季から松井秀喜の背負った『55』を付ける秋広優人がフリー打撃と特打で15発をスタンドに放り込むなど活気の溢れる練習が行われている。プロ野球担当記者が話す。

「1990年代半ばくらいまでは開幕が4月10日前後で、選手の調整も今よりもっと緩やかでした。2月の3週目に紅白戦があって、4週目にオープン戦が始まっていた。しかし、今は3月25日前後に開幕するので、2月10日前後には紅白戦や対外試合がある。キャンプインの日程は同じですが、全体的に2週間くらい前倒しになっています。だから、選手も2月1日の段階である程度仕上がっていますね」(以下同)

 最近はほとんどの選手が自主トレで体を作り上げてくるが、以前はキャンプに体重オーバーのまま突入したり、開始早々リタイアしたりする選手もいた。

「代表的なのは現在、巨人のヘッド兼オフェンスチーフコーチを務める元木大介です。1993年は2月12日に風邪と腰痛で練習に参加できなかった。この年はまだいい方でした。1994年は2月10日の走塁練習中に須藤豊ヘッドコーチから怠慢プレーを指摘されて鉄拳制裁をくらい、2月18日に頚椎捻挫で帰京。すぐに宮崎に戻りましたが、居残りで二軍キャンプに参加していた3月8日に左足首を捻挫しています。1995年は2日目のダッシュ中に右太もも裏の肉離れを起こして2年連続の帰京。1996年は3日目に寝違えで首筋を痛めてリタイアしています。当時21歳から24歳で、期待の若手が4年連続離脱するのは珍しかった」

 元木は毎年レギュラーを狙える位置にいたが、1年間戦う体力と技術を養うキャンプを満足に過ごせなかったこともあってか、なかなかポジションを奪えなかった。キャンプを無事に過ごした1997年、初めて100試合以上に出場。その後、2002年まで6年連続で出場試合数が3桁に達し、2度の日本一に貢献した。1998年、1999年にはオールスターにも選ばれている。

「チームメイトの落合博満が『元木はもっと練習すれば凄い選手になる』と言っていたように、自分を追い込んでいくタイプではなかった。普通、若い頃にキャンプを満足に過ごせなければ、数年で消えますよ。でも、元木ヘッドは20代半ばから30代前半にかけて、巨人に欠かせない選手でしたからね。逆に言えば、2年連続でキャンプ第1クールで離脱するようなことがなければ、タイトルを取るくらいの選手になっていたかもしれません」

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