ライフ

岡田晴恵氏が解説 感染症の世界的同時代流行「パンデミック」の歴史

白鴎大学教授の岡田晴恵氏

白鴎大学教授の岡田晴恵氏

 2020年から続く新型コロナウイルスの流行もすでに第6波。感染症とともに生きてゆかねばならない私たちに、白鴎大学教授の岡田晴恵氏が、人類の歴史とともにあった感染症の歴史について解説する。

 * * *
 コロナの解説でお馴染みの岡田晴恵です。この程、週刊ポストさんで連載を持たせていただき大変光栄です。私はいろいろな感染症の対策や解説を20年以上やってきています。そこで、ぜひ知っておきたい感染症や、それにまつわる蘊蓄話を書いていけたらと思っています。

 一回目は「パンデミック」、感染症の世界的同時大流行について。

 2002年の冬、SARS(重症急性呼吸器症候群)が中国で発生、感染者が飛行機で海を越えて移動することで瞬く間にウイルスが広がって大問題となりました。

 グローバル化した現代では、一地域に発生した新感染症が高速大量輸送ですぐに拡がって、パンデミックになる。それを見せつけたのが、20年前のサーズコロナウイルスだったのです。今、問題となっている新型コロナウイルスは、このサーズコロナウイルスと近いウイルスです。

 振り返れば、エジプトのミイラにも、結核や天然痘などの病気の痕が残っていますし、ポリオ患者を示すレリーフもあります。人の感染症は人類の歴史と共にあります。人類が進化し、家族単位から集落をつくり、人の移動と交流が盛んになり集落から都市へと発展するとともに、一部の地域に局在していた風土病が広い地域に拡大する疫病へと発展していきました。

 ヨーロッパの歴史でも、13世紀のハンセン病、14世紀のペスト、16世紀の梅毒、17世紀から18世紀の天然痘、発疹チフス、19世紀のコレラ、結核、20世紀の新型インフルエンザなど、その時代を象徴する感染症流行がありました。その時を生きた人々は、逃れようがなくその感染症の惨禍に直面してきたのです。

 ハンセン病がヨーロッパで流行したのは十字軍の遠征がきっかけであったと言われます。中世のペスト(黒死病)は中央アジアからシルクロードの河川交易路を通じてヨーロッパに伝播されました。今、新型コロナウイルスのパンデミックが3年目となり、産業革命以降、加速度的に増えた78億人の世界人口と、グローバル化社会を背景に大流行しているために、変異ウイルスが次々と現われては、また新しい波をつくってパンデミックを繰り返しています。

関連記事

トピックス

硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン