ビジネス

何度目かもわからない撲滅宣言が出た違法DVD販売、いったい誰が買っているのか

いたちごっこは長年、続いている。写真は2010年に東京・歌舞伎町のDVD販売店や倉庫などから押収したわいせつDVDなど(時事通信フォト

いたちごっこは長年、続いている。写真は2010年に東京・歌舞伎町のDVD販売店や倉庫などから押収したわいせつDVDなど(時事通信フォト

 この2年間のあいだ、新型コロナウイルスによって生活が激変させられたことで、様々なビジネスが大きな変化を強いられた。業績不振で路線変更を余儀なくされた仕事が多いなか、好景気に沸く分野もある。警察が何度目かの「最後の1店舗」宣言をしたDVD販売店摘発の報を受けたあと、いまだ円盤を求める客にどのように応じているのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 今年1月、わいせつなDVDを販売目的で所持していたとして、警視庁が東京・歌舞伎町の店舗を摘発。店舗(倉庫)番と客引き役の男ら2人が逮捕された。警視庁は昨年、歌舞伎町に残っていた最後の「1店舗」を摘発後に、こうしたDVD販売店を「一掃した」と自信を見せていたが、実はその後すぐ、客引きたちの姿が確認されていた。

 コロナ禍前より筆者は周辺取材を続けているが、「最後」宣言を報じるのはいったい何回目になるだろうか。実は2017年の11月にも、当局関係者が店舗の「絶滅」を宣言していたが、2020年までに復活したことを記事にしている。当局関係者に聞くと、2000年代にも「一斉摘発して根絶」とされたことも何度かあるといい、つまるところ「いたちごっこ」は今に至るまで続いているということだ。

「結局、根強いニーズに応える形の商売なんですね。コロナ禍で、それが際立った格好でしょう」

 歌舞伎町で飲食店を経営する本田孝さん(仮名・40代)も、昨年の暮れ頃から、街頭に立つ怪しい雰囲気の男を何度も目撃していた。

「男がぼーっと立ってるくらいなら歌舞伎町じゃ不自然には見えませんが、あいつらは鋭い眼光を通行人に向けて、近くを通れば『DVD』ってボソっと漏らす(笑)。以前はキャッチも初老の男性ばかりでしたが、最近は若い男もいた。コロナで仕事がなくなったんだろうけど、若いんだしもっと仕事選べよなと思いますよ」(本田さん)

 そんなキャッチについていくのは、10人中10人が高齢男性。コロナ禍以降で需要が伸びた、そう話すのは都内の成人向け書店スタッフだ。

「今や、その手の映像はネット環境さえあれば、誰でも気軽に、しかもタダで見れてしまう。もちろんそれらのサイトの多くは違法アップロードなんでしょうけど。一方、パッケージのDVDや雑誌はほとんど売れない。では誰がDVDを買うのか、そりゃもうおじいさんばかり」(書店スタッフ)

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン