きょうだいなら商品の情報を自然にPRできる
また、気になるのが、「虫コナーズ」の長澤まさみと仲野太賀。姉は「その虫コナーズ、まさか去年のとちゃうやろねえ」とか「この世界には虫コナーズと虫コナーズなやない“虫コナーズ的なもん”があんねん」と突然、真顔の関西弁で言い出し、弟を怯えさせる。この姉弟も話すことといったら、虫コナーズのことばかり。それでいいのである。
映画、ドラマで主役を務める俳優たちのきょうだい設定CMが、なぜ多いのか。ひとつはきょうだいだと、知らないことを教え合ったり、言い合ったりすることが、ごく自然にできること。ここでいう「知らないこと」とは、商品名やその価値や使い方で、CMの肝である。情報も使いこなすツールにも格差がある時代。
いまや新しい情報を昭和世代の親が子に教える、上司が部下に教えるといった場面は想定しにくい。また、恋人設定では二人だが、きょうだいならば人数は自在。友人同士よりも近く、遠慮のない空気の中で、あれがいい、これが欲しいと短い秒数でポンポン言葉が出せるきょうだい設定は、CMにはちょうどいい関係性といえるのだ。