国際女性デーを祝う赤いバラを贈られたウクライナ女性。2022年3月8日、ウクライナ・オデッサ(イメージ、Ukrinform/時事通信フォト)

国際女性デーを祝う赤いバラを贈られたウクライナ女性。2022年3月8日、ウクライナ・オデッサ(イメージ、Ukrinform/時事通信フォト)

 決めつけるのは早計だが、仮にそうだとするならウクライナがロシアに侵略を受けているいま、こんな婚活を斡旋するのは、詐欺かはともかく無神経すぎる。

「この件ではありませんが、昔から貧困国の女性との斡旋なんて珍しくもないですけどね、さっきも話ましたが、東南アジアなんかはやっぱり家族を食べさせるために日本人と結婚、とか珍しくもないわけで。世界の現実ですね」

 確かに、世界的に富裕層の増えた中国などは極端な男余りもあって、以前から積極的に他国に嫁探しをしている男性が珍しくない。人気は大人しく従順とされる日本人女性、もしくは旧ソ連の白人女性だ。お互いが納得の上なら大人の話なので外野がケチをつける話ではない。しかし今回の件は会えるかどうかもあやしい事案、そもそもこの状況のウクライナでどうやって会うのか、スカイプによるオンラインお見合いやウクライナに渡航して対面お見合いと書いているが明らかに無理だろう。日本に呼んでお見合い、にいたってはコロナ禍になんともはや。そもそもの疑問だが、戦争はともかくコロナ禍にどうやって婚姻に結びつくまで接触できるというのか。先の元女性スタッフに注意点を聞いた。

「私の時代は仲人仲介(スタッフによる対人営業)しかなかったので参考になるかはわかりませんが、事務所の住所もなければ電話番号も携帯だけ、というのは明らかにおかしいので近寄らないほうがいいと思います。あと料金が明確なこと、契約書は必ず目を通してください。なるべく歴史のある大手、というのも大事です。それでも結局は男女の好き嫌いの話なので、『絶対(に結婚できる)』がないのが難しいところですが」

 至極あたりまえの回答だが、これ以外ないと思う。本当に気をつけていただきたい。しかし今回の国際結婚DMも引っかかる人がいるから続いているのだろう。ロシアのウクライナ侵略とそれによるウクライナ人の困窮と、それを遠回しに見越したようなタイミングの婚姻斡旋メール、その先に「若くて美人の白人女性と結婚できる」という中高年の婚活男性の願望を侮るような下衆い算段もあるように思う。この手の事案は引っかかっても他人に話しづらく、新たな被害者が出る。この件のようなあからさまな(それでも詐欺とは明確に言えない)話でなくとも、国民生活センターによれば結婚相手相談サービスに関する消費生活相談は毎年1,000件を超える。詐欺師は他人の弱みにつけこんで金を騙し取る。それが貧困や戦争であろうとも。そんな人間がこの地球上に存在する。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。

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