家の中が段ボールだらけ!(イメージ)
「家が段ボールだらけだ!」
こういった代理店が作成した広告ページに多いのが、当該の製品を、どのような条件で自分が購入したのかが分かりづらいデザインであるということだ。たとえば、一度購入すると、自動的に「定期購入」契約扱いになってしまうなどのトラブルは頻発している。ではなぜ摘発されないのかといえば、条件を表示していないわけではなく見つけづらいところに小さく表記があるとか、商品の説明や購入方式について法律に触れないようなギリギリのキーワードを用い、消費者の誤認を誘導しているからだ。これら悪質なものについて、その特徴をあげながら消費者庁も注意喚起を促したりしているが、この手の広告はなかなか淘汰されない。結果として、商品を購入しトラブルに遭う人がいまだに存在する。
話を戻そう。田上さんは、娘宛の化粧水とクリームが届くのは今回かぎりと思い、効果が無いだろうと思いつつも母親には何も言わずにやり過ごしたのだが、翌月、翌々月と続けて同じものが届けられた。あまりに続くので、数ヶ月後、母に次のように申し出た。
「毎月届く商品、試しに娘が使ってみたところ、肌がピリピリしたり赤みが出ると言ってほとんど使ってなかったんですね。だから、申し訳ないけどもう送ってくれなくていいよ、そう話しました。母も善意で送ってくれているので、できるだけ丁寧に言ったつもりでしたが……」(田上さん)
すると、翌月からはまた別の美容液が届き始めたというから、田上さんは驚くと同時に、母に対して怒りの感情すらわいてきた。効果があるかどうかどころか、使えるかどうかも分からない化粧品を無駄買いさせたくなくて伝えたのに、その真意がまったく理解してもらえなかったからだ。
「孫を思う気持ちには変わりないでしょうが、もう十分だからと言っても、これは効くらしいから、といって聞く耳を持ちません。値段を聞いてみると、最初は数百円で買えるが、2度目以降は7000円もするのだというのです。呆れ返って、その時は少し強めの口調で『もう絶対に買わないで』と釘を刺したんです」(田上さん)
それでも母から美容液などが引き続き届いた。商品がサプリメントに変わったこともあったが、もはや娘の「アトピー」に有効だと思って送ってきているものなのか、判然としない。その時、田上さんの頭をよぎったのは、まだ若々しく元気だと思っていた母に、認知症の症状が出始めているのではないか、ということだった。
「心配した夫が、一人暮らしの母の家を訪ねたんですね。すると、夫からすぐに電話がかかってきて『家が段ボールだらけだ』とパニックになっていたんです」(田上さん)