国内

独居高齢者が悪徳商法のカモにされ、空き巣にまで入られる闇の構図

スマホを母に買い与えたことは、よかったのだろうかと今も悔やまれる(イメージ)

スマホを母に買い与えたことは、よかったのだろうかと今も悔やまれる(イメージ)

 離れて暮らす親がスマートフォンデビューをするにあたり、連絡がとりやすくなるからと気軽に使うようすすめたり、メールやLINEなどの設定をしたという人も多いだろう。生活を便利にするために役立つスマホだが、それをきっかけに年老いた親をトラブルに遭遇させてしまったと嘆いている人がいる。ライターの森鷹久氏が、スマホを持ったことをきっかけに、いくつものトラブルに遭遇したあげく空き巣グループの標的にもなったケースについてレポートする。

 * * *
 日常生活を少し便利に過ごせるように、と好意的にやったことが、後に大きなトラブルに巻き込まれる原因となる──

 まさにそんな経験をしたと筆者の取材に答えてくれたのは、北関東在住の主婦・田上明美さん(40代)だ。トラブルに巻き込まれた張本人は、現在60代だという田上さんの母。田上さんが、当時の嫌な思い出を振り返る。

「娘(当時10代)に軽いアトピー性皮膚炎の症状が出たと、母に何気なく話したのが全ての始まりでした。年頃の女の子だし心配だと漏らしたところ、母は私以上に心配してくれました。それから一ヶ月ほど経った後、母から娘宛に小包が届いたんです」(田上さん)

 小包の中身は美容液と美容クリームで、母からの手紙も添えられていた。田上さん自身が少し前に母親にプレゼントしたスマホを使い、アトピーに効くらしいという商品を購入した、是非孫娘に使ってほしい、そう記されていたという。

「はっきり言って、その手の商品はクセものだと思っていましたので、自分では買いません。おそらく母は、簡単な検索でたどり着いた商品の怪しげな広告を見て盲信し購入したのでしょう。効かないだろうなと思いましたが、孫を思う気持ちを無下にはできず、ありがとうとお礼を言っておきました」(田上さん)

 母親が購入した美容液と美容クリームは、ネット検索だけでなく、SNS上でも盛んに宣伝がなされていたことを筆者も確認をしている。広告には”アトピーが気にならなくなった”とか”肌が綺麗だと褒められるようになった”、などという体験者らしい人物の声が掲載されていたが、医薬品ではなく化粧品だからそういった表現が許されているのが現状だ。逆に、法律で宣伝につかってはならないと禁じられている「アトピーが改善する」とか「アトピーが治る」とはどこにも書かれていなかった。また、購入のきっかけになったのは、商品の販売元とは違う(とされる)別の広告会社が立ち上げた広告ページだろうことも推測された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン