ライフ

元ソニーCEO・出井伸之氏が説く「会社にも定年にもしばられない生き方」

「会社にも定年にもしばられない生き方」について語る元ソニーCEO・出井伸之氏

「会社にも定年にもしばられない生き方」について語る元ソニーCEO・出井伸之氏

「生涯現役時代」といえば聞こえがいいが、60歳を超えて仕事にやりがいを感じる人は少ないはずだ。どうしたら年齢を重ねても輝く働き方ができるのか。著書『人生の経営』を上梓したばかりの、元ソニーCEO・出井伸之氏(84)が唱える「会社にも定年にもしばられない生き方」に耳を傾けよう。

 * * *

リタイアするつもりはない

 最近、「還暦からの生き方」や「老後の心構え」を説く本が多いようです。リタイア後の余生をどう過ごしていくか、それはそれで大きな問題だとは思いますが、僕の関心はそこにはありません。まだまだリタイアするつもりがないからです。

 僕は84歳になりましたが、いまだに現役ビジネスマンです。体調が続く限りは、仕事を続けていきたいと思っています。

 そして多くの人たちと話していて思うのは、みな本当はできる限り仕事をやり続けたいと考えているのではないかということです。

 でも働ける場所がない、今の時代に対応できるスキルがない、そう思い込んでいる人も多いようです。果たして本当にそうでしょうか。今までしっかりとしたキャリアを積み重ねたビジネスマンであれば、きっと輝ける場所は見つかるはずだ、僕はそう考えます。

 僕は1960年に、当時はまだ小さなベンチャー企業だったソニーに入社し、1995年に社長に就任しました。井深大さんと盛田昭夫さんという2人の創業者がいて、そのあとを継いだ岩間和夫さんは「第三の創業者」と言われる方でしたし、次の大賀典雄さんにも「自分までが創業者世代」という自負がおありだった。

 僕は事実上、ソニーで最初の新卒入社のサラリーマン経営者だったわけです。1999年に社長兼CEO(最高経営責任者)になり、翌年には会長兼CEOとなりましたが、2005年に退任しました。

 おかげさまで古巣のソニーは今、業績がよく、2022年3月期の連結営業利益は1兆円に届く勢いです。一時期、ソニーの業績が低迷した頃には批判の声もありましたが、今では僕のところにも「すごいですね」「よかったですね」という声や、「出井さんの改革がようやく実を結んだんですね」といった嬉しい評価をいただきます。しかし、僕はすでにソニーを離れた身です。

 CEOを退任して、それまでの“すべてはソニーのために”という「ソニーファースト」から解き放たれたと思いました。目の前の視野が一気に広がり、新しい視点で日本の将来に貢献できることはないかと考えました。ソニーの肩書きを捨てて、新しいチャレンジをしようと思ったんです。

関連記事

トピックス

優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
素材はピカイチとされたが…
【オコエ瑠偉が巨人を電撃退団】「阿部監督一強体制」で反発は許されなかったか メジャー移籍は厳しい現実、“ランクを下げながら海外移籍を模索”のシナリオも
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン