ICBMの技術を提供
ロシアと北朝鮮には、歴史的に密接なつながりがある。
「1950年の朝鮮戦争で旧ソ連は、軍事顧問団を派遣し主力兵器の供与など軍事面で尽力した。旧ソ連の後方支援がなければ、北朝鮮は敗北して国家が消滅していたはずです」(辺氏)
両国の関係をより深めたのが、プーチン氏と金正恩氏にほかならない。
「2000年7月、プーチン大統領は旧ソ連時代を含めロシア国家元首として初めて北朝鮮を公式訪問し、熱烈な歓迎を受けた。さらに金正恩体制に移行後の2014年には、旧ソ連時代から北朝鮮が負っていた約110億ドルの累積債務の9割をプーチン大統領がチャラにしました。金正恩総書記にとってプーチン大統領はまさに大恩人なんです」(同前)
核とミサイル開発で北朝鮮が孤立していた2018年1月、プーチン氏が金正恩氏を「間違いなく賢明で成熟した政治家だ」と擁護すると、2019年4月にウラジオストクを初めて訪問した金正恩氏は、「偉大なロシア人民を領導する役目をお引き受けになり、情熱的に活動しておられることに対してお祝い申し上げる」と持ち上げた。
両国は軍事的なつながりも強く、北朝鮮から亡命した複数の脱北者たちは、旧ソ連時代の科学者たちが北朝鮮の核とミサイル開発を手助けしたと証言している。北野氏が語る。
「2017年には金正恩総書記の暗殺計画を阻止するため、北朝鮮が旧ソ連の元KGB(国家保安委員会)の要員を軍事顧問にしたと報じられました。両国の軍事的な協力関係は年々深まっており、ロシアが北朝鮮にICBM(大陸間弾道ミサイル)の技術を秘密裏に供与している可能性は高いと見ています」