林家つる子
落語通のなかには、「古典を否定するものだ」という意見もあったが、落語になじみのない女性たちからは、「身近に感じられた」という声が上がった。
「師匠の林家正蔵には、『女流にしかできないことがあるはずだから、どんどん挑戦しなさい』と言われます。今後も、古典の価値観を変えず、女性に焦点を当てていきたい。今後は、紺屋高尾に取り組みたいと考えています」
師匠の教えに従い、コロナ禍に立ち上げたYouTubeで落語やトークを配信するほか、「MC曼荼羅」の名でラッパーとしても活動中!
「さまざまな発信手段を使って若い世代へ落語を広めていかないと、未来がなくなってしまうのでは、という危機感があります。YouTubeや音楽も、落語家を身近に感じてもらうための活動です」
■林家つる子の6選
●入門者向け
『子別れ/子は鎹』
【内容】酒と女に溺れる亭主に愛想を尽かし、女房は子供と家を出る。その後、亭主は改心して仕事に打ち込む。子供をきっかけに夫婦は再会し、お互いの想いを再確認。再び、親子3人水入らずで暮らすことになるが……。
『替り目』
【内容】面と向かって女房に感謝の言葉が言えない亭主の独白を聞く女房。酒飲みで不器用な亭主への愛情が感じられる。本来は「銚子(調子)の替り目」というオチで終わる長い話だが、亭主と妻のやりとりで終わることが多く、寄席でも演じられる。
『紺屋高尾/幾代餅』
【内容】人気花魁に一目惚れした職人が、3年必死で働いて彼女に会う金を貯める。その一途さに心を打たれた花魁が、「一緒になりたい」と結ばれる物語。紺屋高尾は主人公が染め物職人、幾代餅は餅職人に変わるだけで、内容は同じ。