ライフ

【痛風著名人座談会】ぜいたく病と揶揄され、医者にも軽んじられる悲しい実情

作家の黒川博行氏らが痛風の実情を語り合う

作家の黒川博行氏らが痛風の実情を語り合う

「ぜいたく病」などと揶揄されてきた痛風。当事者は至って真面目に痛みに向き合うのに、その姿はどこか愛おしい。足の指や足首などが腫れ、激痛に襲われる痛風を患う黒川博行氏(作家・73)、グレート義太夫氏(お笑い芸人・63)、大竹聡氏(ライター・59)による、泣けて笑える座談会が開催された。【全4回の第2回。第1回から読む

 * * *
黒川:初めて痛風の発作が出たのは40代の前半で、夏のある日、テニスから帰った夕方ですね。突然、右の足首が痛くなった。最初は「捻挫や」と思ったんですよ。テニスコートで捻挫したんかなと。ところが時間がたつにつれてどんどん痛くなって、ついには歩けんようになった。病院に行ったら、尿酸値は8.5くらいと割に低かったんですが、もう発症してしまった。僕の場合、いとこが2人とも痛風やから、遺伝病やと思います。

大竹:周りの反応はどうでした?

黒川:みんな笑うてた(笑)。「お前はなんでも食うからじゃ、意地汚いからそんなふうになるんじゃ」と。当時はぜいたく病というような観念があったから、周囲の見る目は冷たかったですね。

大竹:ぜいたく病と言われるのは本当に心外です。フォアグラとか高級なものを食べるなんていうのとは、真逆の生活をしているのに。でも考えてみると、酒をガバガバ飲みながら肴にするのは鰹節とか干物とか、凝縮されたものばかり。あとは鍋の残りのツユとか、うま味が濃縮されてるのが一番よくないって言いますよね。

黒川:義太夫さんが最初に痛風になったのは?

義太夫:30ぐらいの時に『風雲!たけし城』(TBS系)のロケ中に発症しました。親指の付け根が痛くなって、黒川さん同様、最初は「捻挫かな?」と。歩けないのでロケ地の緑山スタジオ(横浜市)の医務室で診てもらったら「たぶん、痛風だと思うよ」と言われて。そのまま帰って病院に行き、尿酸値を測ったら9.1くらい。3、4日で痛みが引いたので翌週、またロケに行きました。

 そこで石倉三郎さんに「足、どうだった?」って聞かれて、「痛風でした」って言ったら、思い切りぶん殴られた。「怪我したと思って心配してたら、ぜいたく病じゃないか」って。

大竹:城を守れなかった原因が痛風なら、殴られてもしょうがない(笑)。医者にさえ軽んじられているというか、どんなに痛みを訴えても医者がヘラヘラしてるから腹が立つ。僕が最初に足首が痛くなった時も、「関節はなんともないから、尿酸値のいたずらかな」なんて言うんですよ。あんなのを医学部に入れちゃいかん。

黒川:痛風でこんなになってるんですって言うと、たいていの人は喜びますね。ネタとして人に笑ってもらえるのは、まあいいんやけど。

(第3回につづく)

【プロフィール】
黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/作家。1949年生まれ、愛媛県出身。京都市立芸術大学卒業後、大阪府立高校の美術教師を経て、1983年『二度のお別れ』で作家デビュー。2014年「疫病神」シリーズの『破門』(KADOKAWA)で直木賞受賞。著書多数。

グレート義太夫(グレート・ぎだゆう)/お笑い芸人。1958年生まれ、東京都出身。大学中退後アマチュアでのミュージシャン活動を経て、ビートたけし率いる芸人グループ『たけし軍団』に加入。身体を張った芸風で「たけし軍団の弁慶」と称される。

大竹聡(おおたけ・さとし)/ライター。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。2002年にミニコミ誌『酒とつまみ』を創刊。『酒呑まれ』『酔っぱらいに贈る言葉』(ともにちくま文庫)など、著書多数。

※週刊ポスト2022年4月22日号

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン