横山:大丈夫です。覚悟は整っております(笑)。
橋:僕は、『潮来笠』を引っさげて1960年にデビューしましたが、まず、この曲名が読めなかった。「しおくるかさ」って、何だろうと思ったぐらいで(笑)。
横山:僕も、橋さんが歌ってくれなかったら、茨城県のこの地名を正確に読めなかったと思います。
橋:正直、歌詞の内容もよく理解しておらず、これがラブソングだと気づいたのは、リリースから2年後のことでした(笑)。
横山:小学5年生の頃、僕は近所の路上で、中古レコード実演販売のお手伝いをしていましたが、その時、意味もわからず『潮来笠』を歌っていたことを思い出します。
橋:17歳でのデビュー以降、数年間は『潮来笠』みたいな股旅モノや青春歌謡、そして、時代劇の主題歌を歌ってきたんですけど、やっぱり、自分にフィットした新しい感覚の楽曲を歌いたくなってくる。
横山:そうですよね。
橋:ずっと作曲を手がけていた吉田正先生に、「いつまでこういう曲を歌うんですか」と聞いたら、「大丈夫。お前の気持ちは、わかってるよ」という。
横山:ああ、なるほど。すべてお見通しだったわけですね。
橋:そうこうするうち、吉田先生がラスベガスに遊びに行った折に、エレキギターのブームの予感を察知した。
横山:それは卓見ですね。
橋:吉田先生は、作曲家というより、プロデューサーだったんですよ。常に新聞記者や評論家といったブレーンを抱え、日々、最新の情報を分析していた。