(Getty Images)

紙コップも危ない?(Getty Images)

缶詰、紙コップから“毒”が溶け出す

 ワーグナーさんによれば、これらの化学物質のすべてが、一般的な使い方のもとに溶け出すわけではないというが、安心はできないとも。

「私たちの調査では、製品に含まれる化学物質の最大80%が、水に溶け出すことが示されました。つまり、プラスチック製品に含まれる内分泌かく乱物質は、かなりの割合で、私たちが口にする食べ物や飲み物に混入しているということです」(ワーグナーさん)

 前出のカップ麺容器の環境ホルモンは1998年に厚労省、農水省、通産省が「健康に対する問題は少ない」としている。ところが、今回のワーグナーさんらの研究では、カップ麺容器からも大量の化学物質が溶け出し、体内に取り込まれる可能性が示された。

「かつて問題になったのは、スチレン樹脂という、カップ麺の容器の原料になる物質で、これには厚労省ほかの言うとおり、内分泌かく乱作用がないことがわかっています。しかし、このスチレン樹脂に添加するその他の化学物質の安全性は不明です。

 私たちの検証でも、一部のカップ麺容器からは、環境ホルモンが検出されています。特に、内側がプラスチックでコーティングされた紙のカップからは、継ぎ目に使われる接着剤からと思われる添加剤が多く検出されました。一方、カップ焼きそばや丼のような形の商品に多い発泡スチロール製のものからは、別の種類の有害な添加剤が検出されています。これらの添加剤には表示義務がないため、検証しない限り、安全かどうかの判断はつかないのです」(高田さん)

 こうしたかく乱物質は高温になると溶け出しやすくなるため、沸騰したお湯を注ぐカップ麺は、よりリスクがあるとも考えられる。同様の理由で、カフェなどで提供される紙のカップやそのふたにも、かく乱物質の危険性がある。ウェルネスクリニック神楽坂院長で『太りたくなければ、体の「毒」を抜きなさい!』著者の賀来怜華さんが言う。

「紙コップの内側に塗られている耐熱・防水コーティング剤にはBPAが含まれており、これは飲料に溶け出して体に取り込んでしまいやすい」

 BPAは缶詰の内側のコーティング剤にも使用されており、妊娠中の女性の体内にBPAが蓄積すると、子供が精神疾患や肥満になりやすくなるという報告もある。

「BPAは、新生児のへその緒から検出されたこともあるほか、乳がんや子宮内膜症の発症との関連も示唆されています。事実、子宮内膜症患者の血液からBPAが検出されたという報告もあります」(高田さん)

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン