3G回線サービスが終了し、電波の送受信ができなくなった旧来型の携帯電話機「ガラケー」。画面の左上に「圏外」の表示が出ている(イメージ、時事通信フォト)
「こちらでお調べしてから、もう一度、お電話してもよろしいですか?」
「いいよ」、彼はそう返事して電話を切った。
すぐに折り返し電話がかかってきた。
「こちらでは、そういう登録になっていないので、大丈夫ですよ」という担当者の声は明るかった。
「いや、そういう問題じゃないんで」と笑ったという幹部。会社ごとに作られているだろう反社のブラックリストに引っかからなかったのだろう。
「携帯の売買契約書の中に、反社会的勢力がうんぬんという文言があるでしょう」
「はい」と歯切れのよく担当者が返事する。
「買うのはいいんだよ」
「はい。では、ご予約はいつに?」
「買うからさ、契約書のその文言、削除してくれる?」
「…削除ですか?」担当者の声がくぐもった。
「上司に聞いてみますので、お電話かけ直してもよろしいですか」
数分後、また電話が鳴った。
「申し訳ありません。さすがにそれはできないそうです」
「じゃあ無理だね」
「そうですよね」と担当者。
「大丈夫だって言われても、契約書にサインしたら、嘘ついたことになるからさ」という幹部に担当者は
「残念ながら、中古の機種をどこかで買うしかないですね」
「そうだろ!」
幹部の周りでは、キャリアとの間でガラケーをめぐり、こんなやり取りが繰り返されているらしい。