スポーツ

最下位・中日に空中分解の危機 二軍に配置転換の中村紀洋コーチに同情の声も

手腕の疑問の声があがる(時事通信フォト)

立浪ドラゴンズはどこへ向かうのか(写真/時事通信フォト)

 中日がセ・リーグ最下位で苦しんでいる。新庄剛志監督率いる日本ハムに敵地・札幌ドームで同一カード3連敗。2試合連続今季12度目の零封負けで、借金は今季ワーストの8に膨らんだ。打線は22イニング連続無得点。5回の攻撃前には波留敏夫打撃コーチが「目覚ませもっと。いつまで甘えてやってんねん、野球。その気でやらんかいアホ」とベンチ前の円陣で激高した姿がテレビ中継に映し出された。このシーンについて、厳しい指摘も出ている。

「波留さんは長年コーチをしてきて、選手の士気を上げるモチベーターとしての評価は高いが、打撃指導で実績を残しているわけではない。DeNAのコーチ時代は主力選手に『考えが合わないので見てもらわなくていいです』と言われたこともあった。貧打が深刻ないまの中日において、発破をかけるだけで何かが変わるとは思えない」(スポーツ紙デスク)

 今年から「ミスタードラゴンズ」こと立浪和義監督が就任。12年ぶりの現場復帰に期待は大きかった。石川昂弥、岡林勇希、鵜飼航丞ら若手を積極的に起用。もちろんすぐに結果が出るほど甘い世界ではない。昨季はリーグワーストの405得点と貧打に苦しんだが、オフに新外国人を補強せず戦力的に厳しい中で戦っている。長期的ビジョンに立ち、失敗に目をつぶりながら我慢強く育てるしかないのだろう。

 立浪監督はぬるま湯体質からの脱却を目指している。攻守で精彩を欠いていた正遊撃手の京田陽太に対し5月4日のDeNA戦で試合中に二軍降格を言い渡し、名古屋へ強制送還したことも話題を呼んだ。このチームに欠けているのが厳しさであると指摘する関係者は少なくない。だが、コーチ人事において、その厳しさが裏目に出ている面もあるのではないか。

 立浪監督は、交流戦開幕前日の5月23日に中村紀洋打撃コーチと当時二軍だった波留打撃コーチの“配置転換”を断行している。元々、中村打撃コーチは立浪監督に請われる形で一軍のコーチングスタッフに入閣。石川の育成という大きな使命を託されていた。名古屋の放送関係者は中村コーチに同情的な見方をする。

「ノリさん(中村コーチ)はやる気満々でしたよ。立浪監督のことは現役時代から慕っていたし、石川のことを『間違いなく将来の4番になれる』と太鼓判を押していた。石川だけでなく、根尾(昂)、鵜飼ら若手たちにも一生懸命に教えていた。ただ、石川がノリさんの教えるスタンスと自分の打撃理論が合わないと感じ、フォーム改造を断念した。もちろん石川にも考えあってのことでしょうが、フォームを改造してもそんなにすぐに結果につながるものではない。もう少し試してみてもよかったのではないか、とも思います。

 京田についてもノリさんは『トリプルスリーを狙える』と素材を評価し、打撃フォームの改造に取り組みましたが、その後はフォームがコロコロ変わってしまった。選手が自主性をもって取り組むのは大切ですが、それで結果が出ていない。ノリさんは現役時代に素行不良と批判されることがありましたが、打撃理論に定評があり指導熱心だった。もったいないですよ。今回の配置転換にチーム内では同情の声が多いです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン