最も多く継承している
安倍氏は首相在任中、「地球儀を俯瞰する外交」をキャッチフレーズに81か国を訪問、G7サミットでも各国首脳の中で大きな発言力を持った。
国際政治学者の島田洋一・福井県立大学学術教養センター教授は安倍外交を受け継ぐのは萩生田光一・経産相(1位)だと見る。
「安倍外交のポイントは、日米関係の構築や日米豪印4か国によるクアッドの立ち上げなどの成果をあげてきたことです。萩生田さんは官房副長官として安倍さんの外遊の半分に同行し、安倍外交を直に見てきた経験は大きい」
萩生田氏は安倍政権時代に総裁特別補佐、官房副長官、文科相として安倍政治を間近で見てきたことから、「安倍氏の政策を最も多く継承している」(古森義久・元産経新聞論説委員)と多くの票を集めた。
それに対して、「実務能力」の面から安倍外交の後継者として甘利氏(4位)を推すのは日米保守会議の創設者で国際政治学者の藤井厳喜氏である。
「保守政治家には日本の安全保障を憂いながら、安保の実務を分かっていない人が少なくない。その点からいえば、甘利さんは安倍政権下で、米国が離脱した後のTPP交渉を日本主導でまとめあげるという非常に困難な仕事をやり通した実績がある」
「内政」面での後継者は菅義偉・前首相(3位)と茂木敏充・幹事長(4位)の名前が挙がる。安倍氏に食い込んだ取材で知られた石橋文登・元産経新聞政治部長が語る。
「自民党の中で、いま安倍政治を引き継ぐことができる人物は菅氏になるでしょう。外交については安倍さんと同等のことができる政治家はなかなかいないが、それ以外の内政分野の能力は断トツに高い。萩生田氏は将来、100人規模の派閥を率いていく能力はあると思うが、まだすぐに継げるわけではない」
「内政で期待できるのは茂木氏。とくに経済政策に強く、安倍さんもその手腕を買って重要ポストを与えてきた。経産相時代には日米通商交渉でタフ・ネゴシエーターぶりを発揮した」(元民主党代議士で政治評論家の木下厚氏)
※週刊ポスト2022年8月19・26日号