Tシャツには「NO WAY WE ARE GOING TO LOSE」
その文字通り、翌日の登板では本調子ではなかったものの、山本は気迫で投げた。1回、2回と連続で満塁のピンチを迎えたが、無失点で切り抜けた。4回に源田壮亮にタイムリー3ベースを許して西武戦での連続無失点記録は40イニングでストップしたが、それでも6回を投げて失ったのはその1点だけ。降板後、リリーフ陣が打たれてオリックスは逆転負けを喫したが、エースとしての貫禄は示した。
次の登板となった8月10日の楽天戦でも、8回5安打無失点で毎回の11奪三振と好投しながら、この試合も救援投手が打ち込まれて逆転負け。勝ち投手とはならなかったが、Tシャツの「負ける気がしねぇ」の文字通り、この試合でも負け投手にはならなかった。
オリックス球団の広報担当者に聞いてみると、「Tシャツは知人よりいただいたもので、文字につきましても、とくに深い意味はなく着用しているとのことです」と回答した。
今シーズンの山本は開幕から好調を維持している。2012年から10年連続で黒星だった開幕戦を任されると、8回を被安打3、9奪三振の快投で無得点に抑えて白星を飾った。さらに4月9日のロッテ戦で3勝目を挙げ、球団記録となる自身18連勝をマークした。
6月18日の西武戦では史上86人目のノーヒットノーランを達成するなど、7月26日のオールスター戦までに17試合に先発して10勝5敗、防御率1.81。投手4冠、MVP、沢村賞を手にした昨季の8月20日より1か月近く早いペースでの2ケタ勝利だった。スポーツ紙担当記者はこう話す。
「真っ直ぐとカーブの緩急、そして高速フォークで奪三振数も12球団トップ。7月9日のロッテ戦では自己最速、球団日本人最速の159キロを計測している。山本は昨年の沢村賞受賞でエースとしての自覚が出てきたとともに、まだまだ投手として進化を続けている。今シーズンはナイトゲームでは就寝、起床、朝食、球場入りとすべて同じ時間にして生活リズムを守り、週1回の登板を続けてきたことが好調の要因と見られている」
ヤクルトが独走するセ・リーグと違い、パ・リーグは大混戦である。1位西武から4位の楽天まで4ゲーム差。3位のオリックスも逆転優勝が狙える位置にいる。山本と吉田正尚の投打の中心がしっかり機能し、杉本裕太郎、中川圭太などの主軸も上向いてきた。終盤戦も山本のMVP級の活躍で、26年ぶりのリーグ連覇、日本一を目指してもらいたい。
