芸能

『ちむどんどん』鈴木保奈美と故・野際陽子さんの相似 「姑演技」は主役喰いの迫力

(時事通信フォト)

朝ドラでは「祖母」になる(時事通信フォト)

 NHK朝ドラ『ちむどんどん』の放送も残り約1か月となり、クライマックスが迫る。主人公・暢子(黒島結菜)の結婚と妊娠、そして独立開業と怒涛の展開が続くなか、ドラマオタクのエッセイスト小林久乃氏は、中盤以降に登場し、主人公の姑・重子を演じる女優・鈴木保奈美に注目しているという。その演技の魅力とは何か。小林氏が綴る。

 * * *
 朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)で、ヒロインの暢子(黒島結菜)が青柳和彦(宮沢氷魚)と結婚、そして妊娠。同時期にかねてからの夢であった、シェフとして独立開業することになった。これまでのドラマの筋書きに対して色々と物申したいことはさて置き、やっと“物語”が稼働した気がする。

 個人的には稼働の立役者のひとりとして、女優の鈴木保奈美さんの名前を挙げたい。和彦の母親・重子役で登場、そして暢子との結婚を徹底的に反対した。グッと子どもたちを睨み、いびる様子。ここに見えたのは、故・野際陽子さんの片鱗だった。

結婚を認めるまでは「重子劇場」

 青柳重子は資産家の令嬢として育ち、和彦の父親との結婚は親が決めた縁談だったという。そのためか夫とはまったく愛情が通っていなかったと主張するのは、本人談(実はその後に夫の愛情を受けた話もあった)。夫は病死してしまい、未亡人になった重子は大きな屋敷で女中と暮らしている。

 そんな重子と暢子の間に、大きな格差が生じても不思議はない。暢子は上京後にやっと普通の生活をできるようになったけれど、出身地の沖縄県では実家が借金に追われる生活をしていた。学歴も資産もない。あるのは、和彦への愛と、料理に対する情熱のみ。この格差を持って、重子が気に入るはずもない。

「(嫌味として)……楽しいお嬢さんねえ?」
「結婚は許しません」
「(和彦に)結局、母さんの言う通りにして良かった……と思う日が来る」

 結婚を認めるまでの間、毎朝繰り広げられていた重子劇場。興信所で暢子の身辺調査をすることなんて、お手のもの。当時、和彦が勤務していた新聞社まで押しかけて、二人の仲を引き裂こうとする。そんな重子の様子は見ていて面白かった。途中、重子の反対路線が突然変わって、暢子が仕事を続けていくことを理由に入れてくる昭和風味もなんともまた……。そこに女優・鈴木保奈美の存在感はたっぷりで、一瞬は主役喰いをしているようにも見えた。

 その向こうに見えたのがかつてドラマの姑役で名を馳せ、2017年に惜しまれつつも亡くなった女優・野際陽子さんの演技である。

関連記事

トピックス

新しい歌番組のMCを担当する予定の堂本光一
《堂本光一もMCの1人に》ジュニアが出演する配信番組の制作が極秘進行中、「デビュー組もジュニアも分け隔てなく出演する」形に
女性セブン
徳永英明の息子「レイニ」が歌手としてメジャーデビューしていた
徳永英明、名曲の名を授けた息子「レイニ」が歌手になっていた “小栗旬の秘蔵っ子”の呼び声高く、モデル・俳優としても活躍
女性セブン
田中にとってはルーキー時代の恩師だ(写真は2007年のもの)
巨人・田中将大が復活のために思い出すべき「ノムさんの教え」 明かしていた“間違った指導”“スピードより制球と配球”の助言
NEWSポストセブン
水原一平の父が大谷への本音を告白した
《独占スクープ》水原一平被告の父が告白!“大谷翔平への本音”と“息子の素顔”「1人でなんかできるわけないじゃん」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告と、事件があったホテルの202号室
「ひどいな…」田村瑠奈被告と被害者男性との“初夜”後、母・浩子被告が抱いた「複雑な心中」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
オンラインカジノで賭博をした疑いで任意の事情聴取を受けたと報じられた、とろサーモンの久保田かずのぶと令和ロマンの高比良くるま
【令和ロマンくるま、とろサーモン久保田も事情聴取】オンラインカジノの闇…著名人がPRしていれば合法と勘違いする人も インスタントジョンソン・じゃいは「PRオファーはお断わりした」
週刊ポスト
「SNS選挙違反」をめぐる告発が相次ぐ(左から斎藤元彦氏、土屋三千夫氏、石丸伸二氏)
【斎藤元彦知事、石丸伸二氏に続き…】長野県軽井沢町の“改革派”町長・土屋三千夫氏が「SNS選挙違反」で町民から告発されていた 収支報告書にも疑問点
週刊ポスト
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《ド派手ファッションで小学校に通う12歳女児》メッシュにネイルとピアスでメイク2時間「先生から呼び出し」に父親が直談判した理由、『家、ついて行ってイイですか?』出演で騒然
NEWSポストセブン
コンビニを兼ねているアメリカのガソリンスタンド(「地獄海外難民」氏のXより)
《アメリカ移住のリアル》借金450万円でも家賃28万円の家から引っ越せない“世知辛い事情”隣町は安いが「車上荒らし、ドラッグ、強盗…」危険がいっぱい
NEWSポストセブン
『裸ダンボール企画』を敢行した韓国のインフルエンサーが問題に(YouTubeより)
《過激化する性コンテンツ》道ゆく人に「触って」と…“裸ダンボール”企画で韓国美女インフルエンサーに有罪判決「表面に出ていなくても妄想を膨らませる」
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
《6分52秒の戦慄動画》「摘出した眼を手のひらに乗せたり、いじったり」田村瑠奈被告がスプーンで被害者男性の眼球を…明かされた損壊の詳細【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 水原一平の父「大谷とフジへの本音」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 水原一平の父「大谷とフジへの本音」ほか
NEWSポストセブン
「必ず海外企業の標的に」ホンダとの統合破談で狙われる日産 筆頭候補の鴻海の他にも“買い手”として浮上する大物企業、カギを握る“アクティビストの思惑”とは
「必ず海外企業の標的に」ホンダとの統合破談で狙われる日産 筆頭候補の鴻海の他にも“買い手”として浮上する大物企業、カギを握る“アクティビストの思惑”とは
マネーポストWEB