スポーツ

元騎手・蛯名正義氏が語る レースでの失敗を財産にして積み重ねていく大切さ

1998年はエルコンドルパサーのジャパンカップなど重賞14勝をあげ、計136勝で関東リーディングに

1998年はエルコンドルパサーのジャパンカップなど重賞14勝をあげ、計136勝で関東リーディングに(写真/JRA)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、勝って当たり前という立場になってからの難しさについてお届けする。

 * * *
 ここ2週、ジョッキーにとって大切なメンタル面の話をしましたが、勝ちたいという気持ちが強いというだけではなく、感情のコントロールができるかという部分もあると思います。

 デビュー5年目で初めて重賞を勝ち、6年目は重賞騎乗数も増えたけれど勝ったのは2つだけ。僕としてはいきなりドッカンとGIっていう感じではなく、少しずつ登らなくちゃいけないなと思っている節がありました。一気に行くと不安になってしまうところがある(笑)。

 翌年も重賞は1勝、その翌年も3勝止まり。それでも勝ち星は80を超えてきて、自分なりに手ごたえはありました。

 27歳でバブルガムフェローで天皇賞(秋)を勝ち、29歳の年に136勝をあげて関東リーディングジョッキーになりました。この年はエルコンドルパサーでジャパンカップを勝つなど重賞を14勝。なかなか勝てなくてちょっと焦っていた時期もあったけれど、何回失敗しても乗せ続けてもらった。その中で積み重ねてきたものがあり、多くの人が応援してくれた財産だと思うことができました。一番人気馬に乗るのはたいへんなことだけど、それを普通に勝たせることができるようにもなった。いろいろな経験をさせてもらった中で、よけいなプレッシャーを感じなくなった自分を実感したのです。

 でもそういう立場になると今度は見える「景色」が全然違いました。今まで褒められたことが褒められない。人気馬の騎乗を依頼される時は、勝って当たり前だと思われる。

 追われる立場になったと思った時、心の底から「ああ、武豊ってすごいな」と思いました。3年目でトップに立って、ずっとこんな「景色」を見ながら、こともなげにやりこなしてきたし、マスコミ対応なども、ユーモアを交えて求められるコメントをスッと出したりしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト