だが、現在の宏池会に昔日の「最強の頭脳集団」の面影は残っていない。福永教授はこう言う。
「良き宰相には良き参謀が必要だ。その意味で岸田総理にはブレーンが見えてこない。池田時代の大平や宮沢、前尾のような存在はいるのだろうか。宏池会の特色は政策派閥であり、領袖とブレーンの信頼関係にある。また現状では岸田総理は未だ何もしていないから、評価のしようがない」
かつての「保守本流」には、周囲に的確な知恵を出すブレーン集団と、意見を汲み上げる組織、そして総理に実行する力が確かにあった。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2022年9月9日号