2021年7月にも幼児の送迎バス置き去りで熱中症死亡事件が起きていた。園児が取り残された送迎バス(時事通信フォト)

2021年7月にも幼児の送迎バス置き去りで熱中症死亡事件が起きていた。園児が取り残された送迎バス(時事通信フォト)

 出版でも校正作業においていわゆる「読み流し」をしてしまい、字面だけで読んでしまって肝心の誤字、脱字、衍字(えんじ)を見逃してしまうことが多々ある。これになぞらえるなら「数え流し」とでも言おうか。長い年月をかけ、多数の有識者、ベテラン編集者によって版を重ねる広辞苑すら2018年の第7版で複数の間違いが見つかり別紙で解説文をつけ加えることになった。校閲部のない中小出版社では編集部による「回し読み」がおこなわれるが、全員で見てもなぜか間違いがスルーされてしまう。出版に限らずすべての仕事でそうだろうが、人間である限り「お詫び」と「正誤表」から編集者、著者すべて逃れることができない。

「字の間違いなら恥ずかしい、で済むでしょうが、運転手は命を預かっています。とくに多数の児童を送迎する場合は大事な他人のお子様を預かっているというだけでなく、子供はまだ何もわかりませんし、より慎重に対応しなければなりません」

専業ドライバーでなく職員が運転する園や施設は多い

 確かに幼稚園や保育園の児童は大人ほどには「開けろ!」と大声を上げることはできないし、窓を割ることもできないだろう。体力的にも未成熟なため、暑い車内で少し眠っただけで熱中症、という事例もある。

「だからこそ、乗降確認と同時に車内確認が大切なのです。むしろ車内に人がいるか、いないかの確認のほうが大事で、間違いは少ないと思います。私はバス運転手時代と同様に、落とし物や忘れ物の確認も兼ねて椅子の下まで覗き込んでいましたが、今回のようなワゴン車など正直言えば『車内を再確認すればいい』それだけなのです」

 報道の多くは今回の送迎車を「送迎バス」と便宜上使っているが、実際の車両は一般的なワゴン車を後部窓までファンシーにラッピングしたものである。このラッピングも疑問だと語る。

「あんな送迎車、私は見たことありません。窓は見えるようにしないとだめでしょう。運転にも支障がありますし、ましてや子供たちを乗せる送迎車ですよ。優先順位を間違っています」

 かわいらしいイラストを全面にラッピングして、子供ウケを狙ったのだろうが、安全面をおろそかにしてまで優先すべきものか、確かに疑問である。

「昔のクルクル回して開くような窓なら助かったかもとは思いますけど。まあ、いまそれを言っても、という話ですが」

 なるほど、昔の車は窓が手動でクルクル回せば開けられた。バスなら蝶番のようなものをつまんで開けるタイプだろうか。窓の重いバスはともかく、クルクル回すタイプはよほど古い時代の車でもない限り(車種にもよるだろうが)筆者の経験上、軽くて子供でも回せたように思う。

関連記事

トピックス

ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン