芸能

三遊亭円楽さん「死ぬまで落語」、結婚生活45年で裏方に徹した妻との“最後の1週間”

言葉の「重み」が違う(時事通信フォト)

妻は結婚生活45年で裏方に徹した(時事通信フォト)

 大喜利では先輩たちを毒舌で切り、付いたあだ名は「腹黒」。だが、その裏には温かい人柄があった。彼の落語では絶対に出てこない妻との夫婦関係は、まさに腹黒とは真逆。これまで語られなかった「愛妻のネタ」はあまりに愛おしい──。

 遺影と亡骸はトレードマークの紫の着物姿。祭壇も紫と白の花で彩られていた。喪主は声優で息子の会一太郎(34才)が務めた。その傍ら、高齢の女性は肩を震わせながらもグッと涙を堪えていた。

 10月3日、都内の斎場で、六代目三遊亭円楽さん(享年72・以下、円楽さん)の通夜がしめやかに執り行われた。死因は肺がん。円楽さんは8月下旬に軽度の肺炎を患い、その後はずっと入院生活が続いていたという。円楽さんと約45年来の親交があり、通夜・葬儀で読経も行った住職・山崎奎一さん(79才)のもとに訃報が届いたのは、円楽さんの亡くなった当日(9月30日)の夜だった。

「その日の昼過ぎ、奥さんから何度か電話の着信があって。気づかずにいて折り返したところ、『亡くなりました』と。思わず、『誰が?』と聞き返したら『主人です』と言うので一瞬、耳を疑いました。あまりにも淡々と話されるので……。

 翌日にご自宅に弔問に伺ったときも、奥さんは涙を見せず気丈に振る舞っておられました。本当は心の中は涙で溢れていたはずなのに、悲しみを決して表には出さなかった。彼女ほど芯の強い女性は知りません」(山崎さん)

 落語会で円楽夫人は長らく「謎の存在」といわれてきた。それは円楽さんたっての願いでもあった。45年の結婚生活で夫人は裏方に徹し、最期まで彼の思いを酌み、その務めを全うしていたのである。

 円楽さんは青山学院大学の落語研究会に所属していた1970年、先代の五代目円楽さん(2009年死去)に弟子入りし、「楽太郎」と命名され、落語家人生をスタートさせた。夫人との出会いは、下積み時代。もともと夫人も落語関係の仕事をしていて、春風亭小朝(67才)の事務所に出入りしていた。円楽さんは、所属は別だが同期の小朝と仲がよく、その縁で夫人と知り合ったという。

 1976年に二ツ目に昇進した円楽さん。翌1977年、27才の若さで『笑点』(日本テレビ系)のレギュラーに抜擢されたタイミングで結婚した。円楽さんと交流が深かった演芸ライターが語る。

「奥さんはまったく表に出てこない人なので、その素性は業界内でもほとんど知られていない。そのことについて円楽さん本人に直接聞いたことがあるのですが、『妻は芸人じゃないから表に出さないんだ』と言っていました。それは家族を好奇の目に触れさせないため、家族の私生活を守るためという彼なりの思いもあったようです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン