そして、これからの課題は「丁寧に生きる」だという。
「なんというか、雑なんです、私。とっても。すごく身近なところからでもいいんですが、たとえばこのコーヒーカップ。無意識につかんで持ち上げたりしないで、きちんと意識しながら持ち上げて、口に運んで置く。
限られた時間の中、意識しないで物に触ったり人に出会ったりするのではなく、その方とか物に対してきちんと向き合うようにしたいと思います」
真琴は、このたび、全曲英語のジャズCDに初挑戦し、英語に歌に猛特訓してレコーディングに挑んだ。この先の人生、「挑戦から経験へ」をテーマにしていきたいという。
「英語もジャズも難しいですね。正直、これはなんということを引き受けてしまったんだろうって(笑い)。なかなか思うように歌えないし覚えられなくて落ち込んだり。でも『ジャズは50代60代がいいんですよ』って、ジャズシンガーの先生に言われたんです。
ずっと歌ってきたらその年代にはいい味が出る、ってことなんでしょうが、私の場合、もう今から。だから高望みするより、人生半ば以上過ぎてこんな挑戦してる人がいるってことを見てもらえたら。そしてそれを経験として重ねていけたらいいかなって思っています」
取材/佐々木史 撮影/木村直軌