そうして始まった一戦は、場内に異様な熱気を生んだという。
「猪木のプロレスラーとしての圧倒的な力があることはもちろんですが、タッキーの運動神経やセンス、何よりもプロレス愛が爆発した一戦でした。タッキーは猪木のマウントポジションからのパンチをガードしたり、いわゆる手四つからの投げにもしっかり対応するなど、見事に応戦。途中、猪木はタッキーに破られたTシャツを自ら脱ぎ捨て場内を煽ると盛り上がりはピークに。最後はタッキーがローキックで倒した猪木にエルボードロップを決め、スペシャルレフェリーの藤原喜明が高速カウントで3カウント。最後はご愛嬌でしたが、目の肥えたプロレスファンも“タッキー意外とやるじゃないか”と評価する名勝負でした」(同前)
ちなみにそれ以降、猪木がプロレスのリングで試合をした記録はない。滝沢氏は、猪木の“ラストマッチ”の対戦相手となったのだ。