国内

暴力団専門ライターが理髪店での組長襲撃事件に「またか」と感じた3つの理由

山口組分裂抗争も7年を迎えたが終焉の兆しは見えない(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)

山口組分裂抗争も7年を迎えたが終結の兆しは見えない(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)

 10月26日午後1時10分頃、岡山市北区大元上町の理髪店で、指定暴力団池田組のトップ・池田孝志組長が襲撃されたが、ボディガードによってすぐ取り押さえられる事件が起きた。実行犯は地元・岡山の妹尾組若頭で、上部団体は神戸山口組から六代目山口組に戻った山健組である。同日夜には、同じく妹尾組幹部によって池田組長が住む岡山市内のマンション駐車場に停めていた車両も銃撃されている。この事件の背景について、暴力団取材の第一人者であるフリーライターの鈴木智彦氏が考察する。

* * *

 最初、事件を聞いて「またか」と感じた。理由は3つある。ひとつは襲撃場所が理髪店だったからだ。暴力団抗争において、床屋はありがちな襲撃場所である。ヤクザは一種の人気商売なので身なりに気を遣う。親分衆には白髪染めをしている人も多い。それぞれ行きつけがあって、あまり他の店にはいかず、定期的に来訪するので待ち伏せが容易である。また散髪中は椅子に座って長時間動かず、自分の髪型を注視し、周囲に気を配らない。気持ちいいので眠くもなる。着衣に髪の毛が付着しないようエプロンのようなケープを装着するので動きも鈍い。散髪中の襲撃は理に適っている。

 昭和29(1954)年9月9日午前8時半頃、呉市阿賀の理髪店で散髪をしていた小原組・小原馨組長が襲われた。理髪台に寝て、ひげそりをしていた最中にヒットマンが忍び寄り45口径の銃弾4発を顔や胸に撃ちまれて絶命する。胸元の白布が血で染まる様子は、映画『仁義なき戦い』第1作でも印象的な襲撃シーンとして描かれている。

 1996年7月10日には、京都府八幡市の理髪店で散髪中だった五代目山口組・中野太郎若頭補佐(当時)が京都・会津小鉄系のヒットマンに銃撃された。店はあらかじめ防弾ガラスにされており、ボディガードが持っていた拳銃で応戦し2人を射殺した。理髪店はそれだけ狙われやすいのだ。

 2つめは狙われたのが池田組だったからだ。池田組は六代目山口組から集中砲火を浴びている。2016年5月には自宅から出てきた池田組若頭が六代目山口組の中核組織・弘道会系のヒットマンに射殺された。コロナ禍による行動制限が解除されてすぐの2020年5月30日には、殺害された若頭の法要後、池田組の本部事務所横の駐車場で再び後任の若頭が銃撃されている。今年5月には池田組の関連先に軽ワゴンが、今回の事件の4日前にも池田組長の縁者の物件に車両が突っ込んでいた。これまでトップが襲撃されなかったのはガードが堅く、チャンスがなかったからだろう。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト