「自公で過半数割れ」も

【神奈川13区】甘利明氏(麻生派)

「国会審議中の政策を説明するのは国会議員の義務でもあると受けた」

 教団関連団体の会合で講演した経緯をそう強弁したのが甘利明・前幹事長だ。前回総選挙では政治資金問題を批判され、選挙区で敗北して比例復活。今回は雪辱を図る選挙となるはずだが、復権は簡単ではなさそうだ。

「甘利氏は父の地盤を引き継いだ2世議員だが、地盤の神奈川13区は区割り変更で3分割され、新しい有権者の審判を受けなければならない。神奈川を含む南関東ブロックは比例定数が2議席増となるとはいえ、今回は比例での復活当選も危ないかもしれません」

【山口2区】岸信夫氏(安倍派)

 安倍晋三・元首相の実弟の岸信夫・前防衛相(現・首相補佐官)は選挙で教団の支援を受けていたことを自ら認めている。祖父の岸信介・元首相、実父の安倍晋太郎・元外相以来の旧統一教会との系譜を引き継ぐ家系だ。

「山口は定数1減となるが、岸信介氏以来の地盤は健在。批判は受けても、出馬すれば当選は揺るがないと思われる」

 では、選挙全体の結果はどうなるか。野上氏の総評だ。

「次の選挙で有権者の批判を受けるのは教団との接点があった議員だけにはとどまらず、自民党全体に大きな逆風が吹いている。自民党には前回総選挙で次点との差が1万票未満の接戦で当選した議員が33人、2万票未満まで含めると57人いる。小選挙区の当選ラインがそのくらいまで上がる可能性が高い。さらに前述の萩生田氏や下村氏、山際氏らのように前回大量得票した議員も今回は苦戦を免れないでしょう。

 比例代表はもっと厳しい。新聞の世論調査では自民党の支持層の6割強しか岸田政権を支持していない。普通は8割前後あるので、いま選挙をやれば自民党の得票は2割くらい減ると予測しています」

 さらに、10増10減の定数是正も自民党にはマイナスだという。

「定数削減される10県のうち、自民党が議席を独占している山口、岡山、愛媛、和歌山、滋賀の5県と自民が強い長崎、広島は定数削減がそのまま自民党の議席減につながる可能性が高い。代わりに定数が増える都市部の東京や神奈川、埼玉、千葉、愛知では自民党の議席増は難しい」(野上氏)

 結果は表のように、自民党は193議席という大敗で自公合わせても過半数割れ、最大で80議席減もあり得るという予測となった。

 岸田首相の一か八かの賭けが有権者の信を得られる可能性は低そうだ。

※週刊ポスト2022年12月2日号

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