歌が終わると当時人気のアグネス・ラムが加山雄三に…
【第30回(1979年)山川静夫】
「本当に若い若大将ですが、この若大将とともに年をとらない歌があります。いまだにキャンパスソングで、本当にみんなに愛唱されている『旅人よ』」
42歳の加山雄三のバックでギターを弾いたのは、さだまさしと野口五郎。ウッドベースはクール・ファイブの小林正樹で、紅白だからこその豪華な共演だった。歌が終わると当時人気のアグネス・ラムが現われ、加山にレイをかけて口元ぎりぎりの所にキス。若大将は笑顔で応えて色男ぶりを見せつけ、同じく頬にキスされたさだは素人のように驚愕。最後の小林はキス後、耳まで覆うパンチパーマを揺らして会場をわかせた。
【第32回(1981年)黒柳徹子】
「あの笑顔が戻って来ました、紅白初出場です。新潟のおばあちゃん、見ていらっしゃるでしょうか。コルセットはまだ取れないのよ、お辞儀もまだ上手にはできません。でもこんなに元気になりました、本当に良かった、河合奈保子さんです、『スマイル・フォー・ミー』!」
河合奈保子はこの年10月、NHKホールでの『レッツゴーヤング』のリハーサル中に4メートル下の奈落に墜落。第1腰椎圧迫骨折をし、43日間の入院を経て復帰したばかりだった。恐怖体験をしたホールで、初出場、紅組トップ。が、とびきりの笑顔で歌い切り、「ありがとうございました」と深々とお辞儀。お茶の間で拍手を送った人もいただろう。
【第41回(1990年)三田佳子・宮沢りえ】
三田「りえちゃーん!」
宮沢「はーい!」
三田「今どこにいるのー?」
宮沢「ここですよー!」
三田「わからなーい。みんなあなたの居る所とっても気にかけていますよー」
宮沢「ヤッホー!」
三田「わー、顔が見えないよー」
17歳だった宮沢りえの中継出演には放送中からNHKに電話が殺到した。大画面モニターに芝浦の夜景が映り、紅組司会の三田佳子が宮沢に呼びかけるも姿は映らず話もかみ合わないまま楽曲「Game」がスタート。映った宮沢はなんと泡風呂の中で歌っており、バスタオルを巻いたようなドレス姿で、ポラロイドカメラで撮影するなどやりたい放題。放送事故のような出来事に視聴者はテレビの前でポカンとした。