ライフ

新型コロナが教えてくれた3つの教訓 感染状況と警戒心はチグハグ

時事通信フォト

経済にも大きな影響を与えた(時事通信フォト)

 折に触れて自らを省みることは重要だ。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
「新型コロナウイルス」の出現で世の中が大きく変わってから、ふと気がつくと3年がたちました。「緊急事態宣言」やら「まん防」やらワクチンやら、さまざまな方法で戦いを続けていますが、感染者数や死者数はこのところ「急激」と言っていい増加傾向にあります。

 1月12日に厚生労働省が発表した全国の死者数が489人で、一日の発表としては過去最多となりました。感染者数も1月6日に、24万6635人と過去最多を記録しています。12日はやや減りましたが、18万5472人と高い水準にあります。

 ただ、多くの人は一時期ほどコロナを意識していません。仕事も日常生活も、たとえばコロナが騒がれ始めた2020年に比べると、医療や介護など一部の分野をのぞいて、かなりの部分でかつての生活様式に戻りました。適切で賢明な付き合い方を見つけたのか、単に「コロナを気にすることに飽きた」のか、そこは不明です。

 いや、政府のコロナ対策を批判しようとか擁護しようとか、ワクチンやらマスクやら賛否が分かれる問題に首を突っ込もうとか、そういう意図はありません。勇ましい物言いで読者に気持ちよさを感じていただくのは、そう言うのが得意な人たちにお任せします。ここでは、この3年を振り返ることで何を学べるかを静かに考えてみましょう。

 1回目の「緊急事態宣言」が出された2000年の春ごろ、世間は未知のウイルスに脅えおののいていました。飲食店や施設はシャッターを下ろし、子どもたちも学校に通えなくなります。にぎやかな繁華街がゴーストタウンのようになった光景を見て、誰もが不安と危機感を募らせました。高校野球も大相撲も中止になり、オリンピックも延期されました。

 漠然とした恐怖心や不安感の成せる業と言っていいでしょう。当時、話題になったりよく見られたりしたのが、次のような事象です。

・感染者を極悪人のように非難する。感染者が出た家に落書きや投石をする
・感染したことで会社を解雇されたり、医療従事者の子どもが差別されたりする
・ネット上や実生活で、他人の言動をあげつらって「不謹慎狩り」に精を出す
・「マスク警察」や「他都道府県ナンバー狩り」の“取り締まり”が活発になる
・慎重に検討した上で学校行事や各種のイベントを開催すると、批判が殺到する
・お店を開けている飲食店が罵詈雑言の電話や貼り紙といった嫌がらせを受ける
・都会から田舎の実家に帰省することに対して、近所から非難の目が向けられる

関連記事

トピックス

スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
神谷宗幣氏(写真中央)が率いる参政党は参院選で大躍進した。東京選挙区でも塩入清香氏(右)が当選(2025年8月写真撮影:小川裕夫)
《午前8時の”異変”》躍進した「参政党」、選挙中に激しい応酬のあった支持者と反対派はどこへ?参院選後の初登院の様子をレポート
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン