両方ともに感染した目をこすった手、涙や目をふいたティッシュ、ハンカチ、タオルなどにウイルスが付着して感染をひろげていきます。目やその周囲に使うものは、ティッシュやペーパータオルなどの使い捨てのものにして、タオルやハンカチの共用は避けることが基本です。さらに、治った後も、原因ウイルスは1か月くらい便中に排泄されます。ですから、トイレの後やおむつを替えた後の手洗い励行が非常に大切です。また、プールの水の塩素消毒をきちんと行なうなどの注意も必要ですね。
治療については、両疾患ともに特効薬はありませんが、炎症をおさえ、細菌の混合感染を予防するための点眼薬を使用します。結膜炎が流行ると学校や職場なども大変な苦労をしますから、ワクチンは無いの? とよく聞かれますが、両方ともに予防ワクチンはありません。そして、感染力が強い。
この目の感染症にはいつも困り果てています。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2023年1月27日号