芸能活動を目指し、ダイエットの重圧に苦しんでいた時代の大橋

芸能活動を目指し、ダイエットの重圧に苦しんでいた時代の大橋

 アイドルを志したのは、痩せた人しかアイドルになれないような風潮に一石を投じ、「太っていてもアイドルになれる」と証明したかったからだと語る。

 2018年4月、体重を気にせずにポジティブにおデブアイドル活動をする「びっくえんじぇる」を立ち上げた。現在のメンバーは大橋と多田えり(身長169センチ、体重107キロ)の2人。大橋は「唐揚げ担当」、多田は「マヨネーズ担当」として活動し、ライブやテレビなどに出演。公式YouTubeは登録者数18万人を超える人気ぶりだ。

「アイドルを目指したいけれど体型が気になって諦めてしまっている人がいると思う。そういう人たちの希望の星になりたいです」

 大橋は福島県で日本人の父、アメリカ人の母の間に生まれ、小学4年の時に引っ越した栃木県では芸能界を目指して上京する18歳でまで過ごした。

「でも英語は話せません。ヒアリングはできるんですが……。実家では母が英語で私に話しかけ、それを聞き取って私は母に日本語で返します。母はそれに対して英語でまた話しかけてきます。違う国の言葉なんですけど通じ合っているような(笑)」

 父と母が話す時は日本語、母が子供に話す時は英語という、日本語と英語が飛び交う家庭で育った。姉2人は母と英語で会話する。なぜ大橋は日本語を貫くのか。

「私、記憶にないんですけど、小さい頃はずっと英語で話していたそうです。でも、それによって日本語が片言だったらしいんです。ある日、学校で“日本語が片言なんだね”と傷つくことを言われたことがあったらしく、私が泣きながら家に帰ってきて、『もう英語は話さない!』と言ったそうです。私、憶えていないんですが、それがきっかけで、私だけ、母の英語に日本語で返しているんですよね」

 話す言葉が他と少し違うことで異質と見られた体験を振り返り、体型だけでなく、他の人と異なることに寛容な社会になってほしいと大橋は強調する。

「固定概念で『顔がハーフだから異国の人』とか、そういうのがなくなっていく世の中になってほしいです」

 結成から今春で5周年を迎える。仕事の現場で出会った人々の中で特に尊敬しているのは誰かと訊ねた。

「コロナ禍の前になりますが、中居正広さんがMCを務めるバラエティ番組の現場でご一緒させていただいた時期があり、中居さんが時々、美味しいご飯をご馳走してくださいました。『叙々苑』のお弁当や、とても美味しいお鮨などを楽屋に差し入れてくれるんです」

 大橋は2018年10月~2020年3月に放送されていたバラエティ番組『中居くん決めて!』(TBS系)に「決めたガール」の一員として出演していた。最初はゲストで呼ばれたが、それをきっかけに準レギュラーに抜擢され、最後の1年間はほぼレギュラーとしてひな壇に座った。

「中居さんはすっごく優しい方で、スタッフさんが差し入れてくれた唐揚げが入った箱の蓋に中居さんが直筆で“唐揚げ”と書いて渡してくださって。私はその当時の番組ではひな壇に座る大勢の中の1人にすぎないのに、『びっくえんじぇる』の唐揚げ担当というキャラクターを踏まえて、そんなお気遣いをいただいたのが嬉しかったですね。美味しいご飯を食べさせてくれ、私を“大橋!”“唐揚げ!”と友達のように呼んでくださいました。中居さんは気遣いの方で、周りにいる人を本当によく見ていらっしゃると思います」

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