ライフ

大学入試や就活試験での不正横行 SNSを利用した解答募集や替え玉受験にはリスクしかない

2023年01月14日、大学入学共通テストに臨む受験生(時事通信フォト)

2023年01月14日、大学入学共通テストに臨む受験生(時事通信フォト)

 SNSを活用したマッチングサービスは、手もとにあるスマートフォンひとつで自分に特化した望みを叶えられる便利なサービスだ。求める内容と、相手のスキルが直接、結びつく利便性は捨てがたいが、不正の温床にもなっている。2022年1月に行われた大学入学共通テストでは、家庭教師紹介サービスを悪用して試験時間中に大学生に解答させるという事件が起きた。就活でもSNSで利用者を募った代行業者を名乗る者による替え玉受験の摘発があるなど、ネットを悪用した不正受験に警戒が強まっている。若者のネット利用における事件とトラブル実態に詳しい成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。

 * * *
 2023年の大学入学共通テストは、厳戒態勢の中実施された。受験生の一人は、「会場の試験監督数が、去年の倍になっていたと聞いた」と当日の様子を振り返った。

「自分も緊張していたけれど、会場全体もピリピリしていた。開始前に不正を強く注意されたし、身動きするたびに監視されているようで、不正を疑われないかどきどきした」

 スマホを試験前に机の上に出させて一斉に電源を切り、鞄にしまう対応に改めた他、イヤホンは装着しているだけで不正行為とみなすなど対応が厳重に。また、試験監督による巡視の回数を増やしたり、怪しい行為が見られた場合は注意するなどの対応がとられた。

 しかし、その対応について学生に意見を聞くと、「監視が甘すぎる」と不満げだ。

「詳しくない人が監視しているんだから、ある意味やり放題では。絶対に不正できないように、会場でネットワーク遮断とかすればいい。昨年の捕まった女子学生は2年続けて不正していたというし、そんな人が受かって、真面目に受験勉強してきた人たちが落とされたらたまらないと思う」

 12月には、文部科学省は大学生や受験生、学習塾や予備校などに対して、入試において不正に関係しないようという通知を出している。

 それによると、不正行為に関与してしまう例として、時間内に解答を返信してほしいなどの依頼に応じたり、SNSや匿名掲示板に投稿された問題への解答があげられている。特に注意が必要な場面として、試験期間中にオンラインで問題への回答を求められたり、試験問題の画像が送付され解答の送付を求められるなどの具体例も示されている。2022年1月に起きた共通テスト問題流出事件で、大学生が不正と知らずに回答を返信するという形で関与させられたことを問題視していることがうかがえる内容だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン