アマチュア野球の指導者は、こう語る。
「今の子供たちは巨人が『球界の盟主』と言われてもピンとこないんですよね。地上波のテレビ中継で巨人戦しかやっていなかった時代とは違い、CSで12球団の試合が見られるし、メジャー中継も見られる。やっぱり大谷翔平(エンゼルス)のインパクトが強い。投打の二刀流で活躍している姿を見たら、メジャーで活躍することを目指しますよ」
実際に日本球界では、スター選手のメジャー移籍が加速している。吉田正尚(レッドソックス)がポスティング・システムで昨オフにレッドソックスへ移籍。千賀滉大(メッツ)もソフトバンク在籍時にメジャー挑戦を志願していたが、球団フロントがポスティング・システムを認めなかったためFAで移籍した。昨季日本記録の56本塁打を樹立し、史上最年少の三冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆も近い将来にメジャーに挑戦したい意向を明言している。
ある球団フロントは、「今回のWBCを経験することによって、メジャー挑戦を直訴する選手が殺到するのではないか。特に投手は肩が消耗品なので、ポスティング・システムで1年でも早く挑戦したいと考えるのが自然です。球団にとってはエース級の投手が抜けるのは大きな痛手ですが、夢を否定するわけにもいかない」と心配顔を浮かべる。
球界のトッププレイヤーが海の向こうに渡る。今後はNPBの球団がFAで大型補強をするという概念も消えていくかもしれない。