まったくの予想外ではなかった言葉だが、A子さんのショックは小さくなかった。鈴木はその後も変わらずに誘ってきたが、A子さんは予定があるなどと嘘をついてしばらく誘いを断っていた。
「真剣につきあえないなら身を引こう」
当時、A子さんはそんな思いを友人にこぼしていた。
妊娠検査薬で陽性反応
それから3か月後の8月上旬。鈴木から「全然会えないね。会いたいよ」という連絡が来た。まだ彼に未練が残っていたA子さんは、期間があいても誘ってくれたことがうれしく、その日の夜、鈴木の自宅へと向かった。
「結果的にこの日、妊娠してしまったようです。A子にはほかに関係があった男性はいなかったので、彼しか考えられませんでした」
8月下旬に妊娠検査薬で陽性反応を確認すると、A子さんの頭の中で「でも、私は恋人じゃない」がリフレインした。悩んだ挙げ句、鈴木に電話をかけた。
「当初、彼は“本当におれの子なの?”と聞いてきたそうで、A子はショックを受けたのですが、そこから毎日のように電話で話したそうです。鈴木さんとA子が仕事のことや故郷のことなどをじっくり話すようになり、いまさらですが、“友人以上”にお互いをよく知ることができたと実感した時期でもありました」
子供ができたことで鈴木との関係が進展したと感じたA子さんだが、非情な現実が突き付けられる。