「当初、A子は産むことを考えていました。産婦人科に通い、エコー写真を見ていくうちに母になる覚悟が芽生えていったのでしょう。
でも、鈴木さんにはその考えはなかった。“産んでも認知はできない”、“その子のことを考えると堕ろすしかない”などと言われたそうです。
非情なように聞こえますが、実際、外でデートできるような恋人関係でもなかったですし……A子はずっと泣いていました。
人気作品に出演していたとはいえ当時は主演作も少なく、俳優として成長過程にあった鈴木さんが、父親になることが想像できなかった、というのもあるのでしょう」
彼女も産むことが現実的ではないとわかっていながらも決断できずにいた。
「実は同じ時期に彼女の妹も妊娠していたんです。2人ともツワリがひどくて励まし合っていたけど、妹は産むことができるのに自分は産めないという現実があまりにもつらかった。ちょうど鈴木さんはドラマの撮影中でそばにもいてくれない……つらさと孤独の中で“堕ろすしかないのか”と絶望していたようです」
鈴木との会話でも口論になることが増えていった。精神的にも肉体的にも不安定になるA子さんを、鈴木はサポートしきれなかった。結局、A子さんは病院でひとり、堕胎手術を受けた。