スポーツ

WBC参戦ダルビッシュ有、技術を全部オープンにする理由 根底にあるのは「球界への恩返し」

第2回大会では、最後を締めくくったダルビッシュ(右)のもとに選手が集まった(2009年)(共同通信社)

第2回大会では、最後を締めくくったダルビッシュ(右)のもとに選手が集まった(2009年)(共同通信社)

《栗山監督に「来年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)出場しなさい」と言われたので出場します》。昨年12月6日、こうツイッターで発言したダルビッシュ有(36才)は、侍ジャパンの栗山英樹監督(61才)と笑顔で握手する写真もアップ。メジャー屈指の“右腕”に成長したダルビッシュの参戦表明にファンは大いに沸いた。

 そんなダルビッシュは、国際大会で苦戦が続いていた。2008年の北京五輪では先発するも、キューバに5回途中4失点でKO。2009年のWBC決勝では1点リードで迎えた9回裏に抑えで登板するも同点適時打を浴び、マウンド上でガックリとうなだれた。その後、イチローの決勝打で日本は優勝したが、ほろ苦さも味わったうえ、2013年と2017年の直近2回は出場すら果たしていない。それだけに今大会にかける思いは強い。大リーグ評論家の福島良一さんが言う。

「2009年大会で優勝したダルビッシュは14年ぶりの世界一への意識が高く、出場が決定すると開口一番、“優勝して日本の野球の素晴らしさを伝えられるよう全力で頑張りたい”とコメントしました。過去にイチローがチームの中心的な存在だったように、チーム最年長で実績のあるダルビッシュは侍ジャパンの柱と言えます」

 ダルビッシュはメジャーリーガー勢として唯一、2月17日から始まった宮崎合宿に初日から合流。年下の選手たちに自ら歩み寄って積極的に言葉を交わした。そんなダルビッシュに「経験値の伝達」を期待するのはスポーツライターの友成那智さんだ。

「ダルビッシュは、決勝ラウンドで待ち受ける手強い相手とメジャーで実際に対戦した経験があります。日本のピッチャーやキャッチャーに“あのバッターはこの球に弱いよ”というアドバイスができることが強み。短期決戦は投手力が大事なので、彼の経験はチームにとって大きな戦力です」

 実際にその存在感は日増しに大きくなっていっている。

「10年以上も大リーグの第一線で活躍するダルビッシュの言葉には説得力があり、若手選手の学びの場になっている。栗山監督が話題にならないくらいリーダーとして彼が果たしている役割は大きい」(スポーツ紙記者)

 ダルビッシュが伝えるのは技術面だけではない。グラウンドを離れてもポジションやチームの垣根を越えて食事会を開催し、若き侍たちはダルビッシュを中心に長時間の野球談議を重ねた。合宿直前には後輩たちにこんなメッセージを送っている。

《選手やいろんな人のコメントを見ていると、少し気負いすぎというか、戦争に行くわけではない。“負けたら日本に帰れない”というマインドで行ってほしくない。気負う必要はないと伝えたい》

 その言葉も選手たちに大きな力を与えたようだ。

「日本にとって野球は国技のようなもの。負けて優勝を逃したら戦犯探しが始まります。ましてや今回のチームは史上最強との期待値が高いだけに、選手にかかるプレッシャーは計り知れません。

 そんな中で経験豊富なダルビッシュが“気負わなくていい”と選手を諭すことの意味は大きく、ヤクルトの中村悠平(32才)は“あのメッセージには相当勇気づけられた”と話していました」(前出・スポーツ紙記者)

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン