ライフ

「図々しい人たち」が各所でサービス破壊 ルール明文化の世の中にするしかないのか

「揚げ玉」「ネギ」などをサービスとして提供してきたが……(イメージ)

「揚げ玉」「ネギ」などをサービスとして提供してきたが……(イメージ)

 人の善意につけ込む、図々しい人たちが巷に増えている。飲食店でテーブルに置いてある紙ナプキンを束ごと、お一人様一点までが暗黙の了解である試供品をドラッグストアで棚にある限り持ち帰るなどの厚かましい行動が繰り返されたため、注意喚起の貼り紙がされたり、店員に声をかけてから提供とルールを新設など運用が明文化される事態が相次いでいる。ライターの森鷹久氏が、図々しい人たちに振り回されるトラブルについてレポートする。

 * * *
 我が国は法治国家である。しかし、すべての行動・事象が法によって規定されているわけではない。たとえば、人々の「善意」によって成立しているという物事は、身の回りにもたくさんあるはずだ。しかし、この善意を自分に都合よく理解する、もしくは善意を提供されるのが当然だと責めるような人々が増えれば、その都度、ルールや法律を作り、こうした言動を規制せざるを得なくなる。

「もちろん、お客様に喜んでもらうことが目的ですが、それは対価という前提があってこそなんです」

 うどん・そば店をチェーン展開する企業でマネージャーを務める佐伯晋さん(仮名・40代)は憤りを隠さない。自身が管轄する複数の店舗で、店側が目玉として提供してきたサービスを巡り、あるトラブルになっているというのだ。

「ネギや揚げ玉の取り放題サービスを、創業時から全店舗で行ってきました。しかし最近、あり得ないような量を取っていくお客様が増えました。以前にも、容器に入れて持ち帰る方がいて注意したりしたのですが、この数年でそういったお客様が増えた印象です。ネギや揚げ玉をうどんの上に山盛りにして、ふざけた感じでスマホ撮影したあげく、ほとんどを残されたこともあります。SNSでは、うどんやそばを頼まず、100円程度の白飯だけを注文し、無料の揚げ玉やネギをご飯の上に盛った”裏メニュー”を勧める投稿まであります」(佐伯さん)

 いくら取り放題とはいえ、店側が想定している常識的な分量を超えるようでは運営に支障が出る。さらに食べ物で遊んだり、大量の残飯を出したり、いくら客商売とはいえ、店側の堪忍袋も切れる寸前。ついに我慢ならず、こうした客の多い一部の店舗で「取り放題」のサービスを中止することになった。ところが、中止によって新たなトラブルを抱えてしまった。

「常連さんや一般のお客さんには、事情を説明したら理解いただけました。しかし、電話やメールで”ケチ”だとか”二度といかない”といったクレームが入り、SNSにも同じような投稿がありました。本音としては、そういう人々は客ではなく、単なる迷惑な人。来店されればされるほど赤字で、お店の雰囲気まで悪くなるんですから。来るな、と言いたいのが本音です」(佐伯さん)

 一部の悪質な客のせいで、店の「善意」であったサービスを受けられなくなった一般客も、ある意味では被害者なのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン