加藤氏が考案した血圧降下法はたったの2つ。「ツボ押し」と毎日5分の「ストレッチ」だ。
まず“即効性”があるというのが「ツボ押し」。特に血圧低下に効果が高い「人迎」(図)のほか、副交感神経を優位にして血圧を鎮める「内関」(手首内側の皺から指3本分の位置にある)、頭痛に効く「天柱」(首の後ろの太い筋肉・僧帽筋の左右にある)など「加藤式降圧法」で使われるツボは5つある。
「ツボを西洋医学流に解説すると“神経の交差点”。ここを刺激すると、脳の司令塔である視床下部に情報が伝わり、神経の流れが改善して自律神経が血圧を調整してくれるということになります」
実際に、ツボ押しだけで数値が「20下がった」患者もいるという。
「50代半ばの女性患者さんは、164まで上がった血圧がツボ押しを実践しただけで140台まで下がりました」
高血圧に悩む本誌『週刊ポスト』の記者(40代男性)も、血圧を測定して「160/114」という数値を確認した後に、「人迎」を押してみた結果をこう語る。
「最初に測定してから2時間後に再び血圧を測定してみると、上が145、下が103に下がりました。正直、最初は半信半疑なところがありましたがすぐに結果が出たので驚いています」
肺と血管の“柔軟運動”
血圧を下げるためには日々の生活での取り組みが欠かせない。そのために考案されたのが「加藤式降圧ストレッチ」だ。
基本は胸のストレッチ。やり方は至ってシンプルだ。立ったまま両手を後ろで組み、肘を伸ばして組んだ手を下方向に引っ張る。そのまま今度は胸を張り、手を組んだまま上方向へゆっくり上げていく。同時に顎を上に向けて顔を上げ、10秒キープする。
ほかにも背中や脇などのストレッチがあるが、いずれも普段あまり動かしていない部分を伸ばすことで、筋肉や血管を柔軟にして血流を促し、血圧を低下させる効果が期待できる。
今回、紹介するのは、「腰」と「脚」のストレッチだ。腰のストレッチは、足裏を合わせて床に座った姿勢で、手のひらを足首に当てるように差し込み、両手を上に持ち上げるイメージで前屈し、10秒キープ。背中の広範囲がストレッチされる。
続いて脚のストレッチ。片膝を立てて前に出し、後ろ足は床に膝をつける。「背筋をまっすぐに保った姿勢のまま、体重を徐々に前にかけていくと、太ももの前側、大腿四頭筋のストレッチができます。これらは血圧低下だけではなく、腰のストレッチは腰痛予防に、脚のストレッチは歩行が楽になる効果も期待できます。先程ツボ押しで血圧が20下がった女性は、降圧ストレッチを重ねることで2か月後には164から110まで54も下がった」