一方、「似ている」と指摘されているのは、『あさイチ』(NHK)の「#教えて推しライフ」、『沼にハマってきいてみた』(NHK Eテレ)、『いまだにファンです!』『すじがねファンです!』『ひかくてきファンです!』(テレビ朝日系)。さらに「憧れの芸能人が一般ファンの家に来る」という構成は、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「とんねるずは突然に…」と似ています。
実は約5か月で終了した前番組『月曜の蛙、大海を知る。』も、何度か「『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)の企画と似ている」という声があがっていました。はたして放送開始後も「似ている」と言われてしまうのか。それとも異なる魅力を作り上げられるのか。やはり制作サイドの奮闘にかかるところが大きくなりそうです。
月曜22時台はこの2年で大激戦区に
もし20日に放送される『推しが我が家にやってくる!』の視聴率や評判がよくなければ、当然ながら『推しといつまでも』の新たなメイン企画候補を考えなければいけなくなるでしょう。ただ、ファンの多い芸能人ほど「一部の人だけを優先させたくない」という考えになりやすいため、“推し”のセレクトはハードルが高そうです。
MBSと『推しといつまでも』にとって厳しいのは、月曜22時台がこの2年間で大激戦区に変貌したこと。もともと月曜22時台は、テレビ朝日系の『報道ステーション』が視聴率トップを快走していました。
しかし、2021年春にテレビ東京系の『WBS(ワールドビジネスサテライト)』が放送時間を1時間前倒し移動して参戦。次に半年後の2021年秋、フジテレビ系が不振続きのバラエティ枠に見切りをつけ、カンテレ制作の連続ドラマを編成しました。
さらに半年後の2022年春に、日本テレビ系が深夜帯の人気番組『月曜から夜ふかし』を約2時間前倒し移動。報道番組が充実している上に、「バラエティだけでなくドラマも見る」という視聴者層も抑えられ、コア層(13~49歳)の支持を集める人気バラエティも加わったことで、TBS系にとってはこれまで以上に視聴率獲得が困難な時間帯になりました。
裏番組が強い分、新番組も「TBS系だけ蚊帳の外」という状態で低視聴率に苦しむ可能性は低くないでしょう。それでも「4年間で7番組を入れ替える」という負の連鎖を断ち切るために、放送を続けながら勝機を見い出してほしいところです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。