芸能

「鬼」はファミリー向け?テレビを席巻する“鬼番組”、『鬼滅』だけじゃないその理由

『鬼滅の刃』

『特別編集版「鬼滅の刃」遊郭潜入編』が放送される(写真は公式HPより)

「鬼」といえば、テレビ・アニメでは『鬼滅の刃』を連想する人が多いかもしれないが、今、「鬼」をテーマにしたテレビ番組が急増している。なぜ今「鬼」なのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 1日夜、『特別編集版「鬼滅の刃」遊郭潜入編』(フジテレビ系)が放送されます。こちらは9日スタートのアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(フジテレビ系)を目前に控えて放送される前シリーズの特別編集版。翌週土曜の8日も含め、2週連続で約2時間30分の特番として放送されます。

 注目すべきは、翌2日のゴールデンタイムにも、3時間特番『妖怪ランキング大百科 鬼強い!鬼と巨大&地獄のヤバいもののけたちが大集合!』(フジテレビ系)と、3時間特番『THE鬼タイジ』(TBS系)が放送されること。

 前者は「妖怪のプロフェッショナル集団が独自目線でランキングする」というコンセプトの特番ですが、タイトルからも“鬼”を前面に出している様子がうかがえます。一方の後者は「襲いかかる鬼をタレントが撃ち倒す」というコンセプトのアトラクション型バラエティ。さまざまな色の鬼が登場するほか、巨大病院を占拠したラスボスの鬼も登場するようです。

 さまざまな色の鬼、巨大病院を占拠……と聞いてピンときた人もいるのではないでしょうか。3月18日に終了した土曜22時台放送の『大病院占拠』(日本テレビ系)は、「さまざまな色の鬼の仮面をかぶったテロリストが病院を占拠する」という筋書きのドラマでした。

 また、日曜の20時台に放送されている『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)は、その番組名通り“鬼”をフィーチャー。メインはカラオケ企画ですが、その背景に鬼の巨大な絵や仮面などが置かれるほか、各所でモチーフとして使用しています。

 その他でも、昨年10月に“鬼”型宇宙人のラムがヒロインのアニメ『うる星やつら』(フジテレビ系)が36年ぶりに復活。今年3月まで放送されたほか、来年にも次期シリーズの放送予定があるそうです。

 なぜテレビはこれほど“鬼”をフィーチャーしているのでしょうか。

“鬼”の番組が土日に集中するワケ

『鬼滅の刃』の人気が影響していることは間違いありません。特に2020年10月に『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が公開されて以降は、子どもたちだけでなく親の世代も見てもらえることから、「ファミリー視聴が見込める最大のコンテンツ」となり続けています。実際、フジテレビがすでに見たはずの「無限列車編」や「遊郭編」を土曜ゴールデンタイムに放送することからも、それがわかるでしょう。

 くしくもその2020年は、春にビデオリサーチの視聴率調査がリニューアルされた年でした。年代ごとの個人視聴率などが明確になったことで、民放各局がスポンサーの求めるコア層(主に13~49歳)に向けた番組作りにシフト。最初の改編期である2020年秋、次の2021年春、さらに2021年秋、2022年春、2022年秋……と半年ごとにその傾向は強くなっていきました。

 なかでもコア層を効率よく獲得できるのがファミリーをターゲットにした番組であり、だからこそ『鬼滅の刃』であり、その人気で身近なモチーフとなった“鬼”にスポットが当てられる機会が増えているのです。前述した番組のほとんどが「学校も会社も休みの土日に放送されている」ことからも、“鬼”がファミリーをターゲットにした戦略であることがわかるでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト