ゆりかもめは1995年に新橋駅(仮)―有明駅間で開業。お台場エリアを代表する鉄道として定着した(撮影:小川裕夫)

ゆりかもめは1995年に新橋駅(仮)―有明駅間で開業。お台場エリアを代表する鉄道として定着した(撮影:小川裕夫)

 PTPSとはこの、車両が信号に接近するとそれを感知して青信号の時間を延長したり、赤信号を青信号へと切り替えるなど、バスの優先走行を自動ではかるシステムだ。将来、東京BRTに専用レーンが設置されたときには、レーン内の違法走行車に対して自動で警告するといったことも検討されている。こうしたPTPSを導入することによって、BRTの運行がスムーズになるとされる。

東京BRTプレ運行二次と路線競合する新しい地下鉄

 東京BRTは2020年10月からプレ運行(一次)を開始したが、前述のように専用道はなく、大半の車両が通常の路線バスと同じ一般道を走るタイプだった。そうしたことから、名ばかりBRTなどとも揶揄されていた。また、プレ運行(一次)は一路線しかなく、決して使い勝手がいいとは言えなかった。

 2023年4月1日からスタートしたプレ運行(二次)では、路線数が「幹線ルート」「晴海・豊洲ルート」「勝どきルート」の3路線に増設。なかでも新橋―東京テレポートを結ぶ幹線ルートは、開発が著しい臨海部の主要交通機関になるとの期待が高まる。

 しかし、東京都の小池百合子知事は2022年11月に東京駅―東京ビッグサイトを結ぶ約6.0キロメートル全7駅の臨海地下鉄計画を発表したばかりだ。臨海地下鉄の計画路線図を見ると、東京BRTとほぼ同じルートを走る計画になっている。

「プレ運行(二次)が始まった東京BRTは、2024年春から本格運行へと移行する予定です。一方、東京都が発表した臨海地下鉄は2040年までに開業することを目指しています。つまり、BRTが本格運行へと移行してから16年後には臨海地下鉄が開業し、両者が並存することになります」と説明するのは東京都都市整備局基盤部交通企画課の担当者だ。

 東京BRTは京成バスが100パーセント出資した東京BRT株式会社が運行を担当しているが、もともとは東京都都市整備局が主導して誕生した経緯がある。

 新たに発表された臨海地下鉄も東京都都市整備局が所管している。よく言えば共存もしくは競合ということになるが、見方によっては仲間同士で限られた乗客を取り合う、潰し合いのようにも映る。

「もともと臨海部は公共交通の空白エリアで、近年になって急速に開発が進み、人口が増えました。また、2020東京五輪の開催が決まったことをきっかけに開発が加速しています。それに伴って、公共交通の整備も必要になりました。そこで誕生したのが東京BRTです。東京BRTは、すでに地域住民の足として定着しつつあります」(同)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、地方都市の鉄道路線は需要が激減。多くの路線が廃線危機に陥っている。都市圏の鉄道路線は廃線危機とまではいかなくても、収支が悪化。苦しい状況が続く。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト