確かに家の前には多くの撮影機材が並べられ、20~30人ほどが出入りしている。どうやらドラマの撮影のようだ。撮影はその日限りの単発で終わることもあれば、長期にわたって続くこともあるという。
この辺りは本来なら住民や別荘の持ち主が行き来するだけの閑静な場所。見知らぬ人間が大勢出入りし、騒音を響き渡らせるとなると、静かな暮らしを望んでこの地に住んでいる人にとって、そのストレスは相当なものだろう。別の近隣住民もこう明かす。
「夜になると明かり(照明用のライト)がいっぱいついているから、野際さんの家の周辺だけが昼間のように明るくなる。寝るときにまぶしいと感じることもありますよ」
困っているのは、近隣住民だけではないようだ。
「ウチはすぐ近所じゃないから騒音はあまり気にならないけど、撮影中はいつも人がいっぱいいて、目の前の道路が車で通りにくいのはたしかです。でもこの通りは袋小路だから遠回りするのは大変で……」(別の住民)
ここが野際さんの別荘だったことを知って撮影に使用しているのだろうか。撮影スタッフのひとりは、「最初は知らなかったんです」と言い、こう続けた。
「ネットでレンタルスタジオの募集をしている管理会社があって、ぼくたちはそこに問い合わせをして、条件に合った場所を使っている。近隣に挨拶にいったタイミングで、野際さんの家だったということがわかったのです。ご迷惑をおかけしないよう努力はしているのですが……」
長年住んだマンションを売却
いま、この逗子の家を所有しているのは、娘の真瀬だ。父である千葉さんの遺志を継いで殺陣の世界に入り、役者として活動を続けている。両親の離婚後は野際さんと共に暮らし、現在は異母弟の新田真剣佑(26才)や眞栄田郷敦(23才)との交流はないという。
「野際さんが亡くなった後はしばらく立ち直れない様子でしたが、お母さんとの思い出を綴った『母、野際陽子 81年のシナリオ』(朝日新聞出版)という本も出版したこともあり、徐々に気持ちの整理もついて、立ち直っていったようです」(芸能関係者)