スポーツ

蛯名正義・調教師が語る「クラシックのトライアル」 いきなり頭角を現す馬も

4月1日、3歳馬エッセレンチが、後方から差す競馬で2勝目をあげた

4月1日、3歳馬エッセレンチが、後方から差す競馬で2勝目をあげた

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動している。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、3才未勝利戦の妙味についてお届けする。

 * * *
 この時期の3歳未勝利戦を見てもらうと分かりますが、早い時期にデビューし、いい競馬をしながら勝てない馬もいれば、2戦目ぐらいであっさり勝つ馬もいる。能力の違いと言ってしまうのは簡単ですが、馬は急によくなってくるということがありますね。スポーツ紙などではことあるごとにクラシック番付などが出ています。いろいろなデータをもとによく調べていますし、厩舎関係者の間でも強い馬は話題になりますが、いきなり頭角を現わす馬もいるかもしれません。

 桜花賞と皐月賞では、その時点までに実績を積んできた馬が闘いますが、デビューが遅れるなどして対戦していない馬の中に強い馬がいるかもしれないですね。ましてやオークスは桜花賞から一気に800mも距離が長くなります。

 一つ勝った馬というのは、陣営で方向性が少しずつ分かっていくこともあります。勝ち方の内容を見たり、その適性を伸ばしていこうという調教ができたり、奏功するとレースにも成果が現われてくることもあります。

 オークストライアルのフローラステークスがGIIなのに1勝馬が多く出てくるのはそういうことでしょう。桜花賞に出走しているような相手がいなければ1勝馬でも権利を獲れる可能性があります。

 ただし、それでもオークスでは桜花賞で5着以内に入った馬が強い。僕もトライアルで権利を獲った馬で6回ほどオークスに乗せていただきましたが、やはり相手が違ったのかなという印象でした。オークスでの2勝2着1回はすべて桜花賞からの直行でしたし、桜花賞で10着だった馬が5着になったこともあります。厩舎スタッフが敗因を分析してじっくり立て直してくれたから好走することができました。

 ダービートライアルの青葉賞は2400mでダービーとは距離もコースも同じなので、本番に直結しているようですが、ここで権利を獲ってダービーを勝った馬は、僕がジョッキーとしてデビューして以来一頭もいません。僕自身オープン特別の時代から5勝、もう一つのトライアルであるプリンシパルステークスでも3勝しています。ですが、本番で一番人気に推されたことはなかったし、ついに一度も勝てませんでした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン