青葉賞で2400mを勝ち切り、中3週でまた2400mのダービーというのは、ローテーションとしてはきついかもしれません。それでも歴史はいつか動く可能性があります。2000m(2003年から)のプリンシパルステークスは、距離的にはまだいいかもしれませんが、そうすると中2週ということになる。それに対し、皐月賞で5着以内に入れば、ダービーに向かってじっくり調整できます。
海外レースへの関心が高まっていますが、ダービーだけは別格。出られるのは名誉なことです。実績のなかった馬が近走の調子や勢いで勝ち切ったり、デビューの遅れたキャリアの浅い馬が、直線の長い東京で素質の一端を見せたりすることもあるのがトライアルの妙味だと思います
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年4月28日号