スポーツ

【江本×中畑×達川・球界OB座談会】不調の原・巨人は「チーム作りのビジョンが見えてこない」

なかなか調子が上がってこない巨人(時事通信フォト)

なかなか調子が上がってこない巨人(時事通信フォト)

 WBCの勢いそのままにプロ野球も開幕から例年以上の盛り上がりを見せている。大激戦のペナントの行方を占うべく大物球界OBらを緊急招集。野球評論家の江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏の3人が見どころを大いに語った。【全4回の第3回。第1回から読む

 * * *
江本:あとオレは、ヤクルトの3連覇はさすがにキツイと思ってる。キーマンの村上(宗隆、23)のバットが大人しい。まあ、56本塁打が基準になるとバッティングが狂うのも無理はない。

中畑:今は“村神様”じゃないですよ。別のバッターに見えるよね。WBCの時もたまたま最後に打ったけど、内容は悪かった。三振の仕方も三冠王を獲る前の悪い村上に近い。

達川:村上の前後で当たっているのはオスナだけ。山田(哲人、30)も塩見(泰隆、29)もケガで離脱しています。強打者が打線にいないので、相手投手は村上に対して、“ホームランさえ打たれなければいい”という配球をしている。外にボール球、インコース高めの厳しいところを思い切って攻めている印象です。

江本:村上に打席でどれくらい気楽にやらせるかがポイントだね。“40本打てば十分だ”と言ってやればいいんです。そうやって精神的に楽になって村上が60本ぐらい打てば、3連覇の芽も出てくるだろうけどね。

中畑:ところで巨人はどうなんだ。オレはOB会長だから言いたくないけど、今年は初めて優勝予想から外したんだよ。開幕からの試合を観ても、やっぱり去年と変わっていない。それどころか坂本(勇人、34)は不調が続くなど逆に戦力が落ちている状況でスタートしている。

江本:オレは原(辰徳)監督(64)へのエールを送る意味で1位に予想したけど、ピッチャーが肥満児ばかり。戸郷(翔征、23)が辛うじてほっそりしているけど、昨年初勝利したピッチャーが8人もいるのに、そのなかから出てくる選手がいない。やはり指導方針が緩いと思うね。

達川:同じく不調の中日は、巨人をターゲットにしていますよ。11日からの広島との2連戦は小笠原(慎之介、25)も高橋(宏斗、20)も投げられたが、ローテから外して、巨人にぶつけてきた。おそらく最下位だけは免れようと思っているんでしょう。これも巨人の浮上を阻む要素やと思います。

中畑:それに先発ローテに新外国人が3人もいるんだよ。巨人にこんな時代あった? OBの1人として応援はしているけど、阪神の岡田と違ってたっちゃん(原監督)は、チーム作りのビジョンが見えてこない。

江本:岡田と違って最近の原監督はカリカリしているしね。勝っても負けても、もう少しどっしり構えないと。今の巨人は叩きがいがない。ひと昔前のように憎たらしいチームに戻ってもらいたい。

達川:江本さんの言う通りですよ。ボクも現役時代には巨人と阪神をやっつけたいと思ってやっていましたからね。巨人と阪神だけには優勝させたくなかった。その頃、原も岡田も現役で、痛い目に遭わされた(笑)。

江本:次期監督は中畑がやるしかないんじゃないの。推薦するよ。

中畑:候補にも挙がらないですよ。

達川:中畑監督、江本投手コーチ、達川バッテリーコーチでやれば優勝ですよ!

江本:間違いないね。こんな(年俸が)安上がりな首脳陣いないし、巨人は使うべきだよ(笑)。

第4回に続く

【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍。

中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた。

達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に。

※週刊ポスト2023年5月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン