スポーツ

力道山と未亡人が初めて対面した赤坂「ホテルニュージャパン」での強引な会食【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#23】

3月21日、亡き夫力道山のお墓を参った田中敬子

3月21日、亡き夫力道山のお墓を参った田中敬子

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第23話ではいよいよ週刊誌記者の奔走の末に2人が出会い、運命の歯車が動き始める──。【連載の第23回。1回から読む】 

  * * * 

23話「週刊誌記者」 

 『週刊明星』記者の美濃部脩は頭を抱えた。 

 そもそも美濃部は、力道山の命を受けて、日航スチュワーデスである田中敬子の自宅や、父親の田中勝五郎の住む茅ケ崎の警察官舎を訪ねたり、自宅に何度も電話をしていたが、ことごとく断られていた。 

「力道山本人が会いたいと申しております」 

「お断りします」 

「そうおっしゃらず一度だけでも」 

「私にはその気がありません」 

「そこを何とか」 

「申し訳ありません」 

 そのうち、電話すら取り次いでもらえなくなった。 

「この辺りが潮時だ。やるだけのことはやった」 

 そう観念した美濃部は、力道山にはっきりと伝えた。 

「敬子さんは、頭がよくて、勘のするどい人らしい。そのほか歯がきれいで、鼻筋が通っていて、耳の形がよくて……要するに、すべての点でリキさんの好みにぴったりなのだが、残念ながら、本人にもお父さんにもその気がまるでないんですよ」(『週刊明星』1963127日号) 

 すると力道山は、驚くことにこう返した。 

「ぜひ、会いたいから、機会をつくってくれ」(同) 

 美濃部はこのときのことを、次のように回想している。 

「いいニュースと悪いニュースがあると、悪いニュースの方は耳に入らないというくせが、リキさんにはある。このときも、すべての条件がぴったりというところだけ聞こえて、見込みがなさそうだというところは聞こえなかったらしい」(同) 

 美濃部は腹を括った。

関連記事

トピックス

悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《多産DVを語ったビッグダディ》「子どもができたら勝手に堕ろすんじゃないぞ」4男6女の父として子供たちに厳しく言い聞かせた理由
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーとの2ショット(インスタグラムより)
《タダで行為できます》金髪インフルエンサー(26)と関係を持った18歳青年「僕は楽しんだから、被害者になったわけじゃない」 “捕食者”との批判殺到に反論
NEWSポストセブン
2人は結婚3年目
《長髪62歳イケオジ夫との初夫婦姿》45歳の女優・ともさかりえ、3度目の結婚生活はハッピー 2度の離婚を乗り越えた現在
NEWSポストセブン
オーナーが出入りしていた店に貼られていた紙
「高級外車に乗り込んで…」岐阜・池田温泉旅館から“夜逃げ”したオーナーが直撃取材に見せた「怒りの表情」 委託していた町の職員も「現在もまだ旅館に入れない」と嘆き
NEWSポストセブン
記者の顔以外の一面を明かしてくれた川中さん
「夢はジャーナリストか政治家」政治スクープをすっぱ抜いた中学生記者・川中だいじさん(14)が出馬した生徒会長選挙で戦った「ものすごいライバル候補」と「人心を掴んだパフォーマンス」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博内の『景福宮』での重大な疑惑が発覚した(時事通信)
《万博店舗スタッフが告発》人気韓国料理店で“すっぱい匂いのチャプチェ”提供か…料理長が書いた「始末書」が存在、運営会社は「食品衛生上の問題はなかった」「異常な臭いはなかった」と反論
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがニューシングル『Letter』をリリース(写真・左/AFLO、写真・右/Xより)
羽生結弦の元妻のバイオリニスト・末延麻裕子さん、“因縁の8月”にニューシングル発売 羽生にとっては“消せない影”となるのか 
女性セブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン