ナンバーワンになるための工夫

「当時から自己プロデュースしていた」と振り返る城咲さん

「当時から自己プロデュースしていた」と振り返る城咲さん

──歌舞伎町で女性客に声を掛けるのは、勇気がいりませんでしたか?

「それまではナンパすらしたことがない人間でしたからね。自販機で一番安いビールを買って一気飲みしてスイッチを入れた。そして“俺がナンバーワンだ”って自己暗示をかけた。ホストになって2か月でナンバーワンを獲ったんですよ。でもいつ陥落するかわからない。だからホストになって3、4年は歌舞伎町を4時間歩き回っていましたね」

──ナンバーワンになるために、具体的にはどのようなことをしましたか?

「僕は男女関係なく、名刺を配りまくった。名刺もいかにも水商売っていうデザインから、銀座のママさんたちのマネをして品のある和紙に“城咲仁”だけにしたんです」

──ホストは何年ほど続けましたか?

「ホスト時代は6年なので、短い方です。ナンバーワンを獲って、『クラブ愛』不動の1位を5年貫いた。僕の噂を聞きつけて、いろいろなテレビ局が取材に来た。なかでも凄かったのが『スーパーテレビ情報最前線』(日本テレビ・1991年から2005年まで放送されていた情報番組)。放送が終わった瞬間、店にある6台の電話が鳴りやまなかったんです」

──そのような状況に、城咲さん自身はどう感じていましたか?

「冷静に見ていたように思いますね。有名になると、危ない人も近寄ってくるなって感じていましたよ。当時はまだ暴対法(暴力団対策法)が緩かったので、反社の人たちに何度もさらわれそうになりました。俺をさらうことで、店側との交渉材料になるじゃないですか。“とにかく城咲を一人で歩かせるな”とミーティングで言われて、常に後輩を5、6人ほど従えて歩いていました。知り合いの店に行くのも、基本タクシーで移動するような生活を続けていたんです」

──それはストレスになりますね。

「例えば、色恋営業をしていたら、それが脅迫のネタになってしまう。なかには悪い女の子もいるので、“無理やり抱かれた”とか何とでもいいようがあるんですよ。でもこちらが手を出していなければ、悪い人たちも近寄って来ないんです」

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