「九死に一生」の体験

ミャンマー難民のティンさん(撮影/泰梨沙子)

ミャンマー難民のティンさん(撮影/泰梨沙子)

「私は死んでもおかしくないような経験を2回しています」

 そう話すのは、ミインさんとともに暮らす難民の一人、ティンさん(仮名、66歳男性)。ティンさんも、レイケイコー村から命からがら逃れてきた経験を持つ。当時、襲撃してきた兵士らに拘束され、屋外で他の十数名の住民らとともに手足を縛られた。その中にいた民主派政党で、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD、3月末に解党処分)の議員に対しては、殴るなどの激しい暴力が行われていたという。

「兵士らの目を盗んで、背後にあった谷に背中を傾けて体ごと落下させ、なんとか逃げることができました。その後は村の近くの教会で身を隠していたのですが、タイへわたった直後にその教会も空爆され、多くの知人が死にました」

 ティンさんが村から逃れた時に一緒に拘束されていた住民らは、現在も収容施設に収監されたままだ。軍事クーデターに抗議した罪で、懲役5年の有罪判決が下ったという。

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