ライフ

スマホの使いすぎで若年層にも増加、ドライアイの原因となる「マイボーム腺機能不全」の治療法が確立

マイボーム腺機能不全の症状とは?(イラスト/いかわやすとし)

マイボーム腺機能不全の症状とは?(イラスト/いかわやすとし)

 マイボーム腺は瞼の縁にある皮脂腺で、涙を眼の表面に安定させる働きを担う。このため、皮脂が出にくくなると涙が乾き、ドライアイや眼の痛み、炎症などの症状を起こす。以前は加齢が主な原因だったが、若年層もパソコンやスマホの使い過ぎでマイボーム腺機能不全になる人が急増中だ。このたび診断と治療法が確立し、世界に先駆けて日本で診療ガイドラインが策定された。

 涙は涙液という水分と少量の皮脂、糖たんぱくのムチンの3つで構成されている。

 マイボーム腺は上瞼に30~40、下瞼に20~30ほど並んでおり、少量の皮脂を分泌している。この皮脂が涙液の表面を覆い、水分の蒸発を防ぎ、涙を眼の表面に留める役割を担う。それがマイボーム腺機能不全になるとドライアイの原因になったり、眼の痛みや重たい感じ、モノが見えにくいなどの症状が起こる。

 東邦大学医療センター大森病院眼科の堀裕一教授の話。

「マイボーム腺機能不全の有病率は10~20%といわれ、日本国内に約1200万人の患者がいると推計されています。以前は加齢により、皮脂の分泌が減少することが主な原因でしたが、近年はパソコンやスマホの見過ぎや瞼の汚れなど複数の原因が重なって患者が急増しています」

 マイボーム腺機能不全の診断基準は10年ほど前に確立されたが、当時は治療法がなかった。しかし、その後の研究で効果を確認できる治療法が確立され、ようやく診療ガイドラインが策定されたのだ。

 その確立された治療法はセルフケア、薬剤、医療機器の3つ。まずセルフケアは瞼を暖める温罨法の実践だ。マイボーム腺に詰まった皮脂を暖めて溶かし、皮脂の分泌を促して瞼の血流を改善させる。さらに瞼の縁を綿棒でマッサージを行なうと症状が緩和する。また眼専用のシャンプーを使い、瞼を洗うのも効果がある。

 中等症以上では薬物治療と医療機器を併用する。治療薬は抗菌点眼薬とステロイド点眼薬、そして、抗生物質の内服だ。瞼には複数の常在菌がおり、菌叢のバランスが崩れると一部の常在菌が皮脂を変性させる。正常な皮脂は透明でサラッとしているが、変性すると白濁し、粘性が出て詰まりやすくなるため、これらの薬で改善を促す。

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン